
2026年1月2、3日に開催される第102回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)。熾烈な総合優勝争いに加えて、8選手がエントリーした栃木県勢の活躍も期待される。前回大会を走った下野新聞社の大田和一斗記者に、今大会の総合優勝やシード権を巡る構図と見どころを聞いた。
◇目次◇
世の中と隔絶された緊張感
-1年前は選手として挑んだ箱根駅伝。外から見る立場になって、率直にどんなことを感じていますか。
「すごく穏やかな日々を過ごせている、というのが正直なところです。1年前(の箱根駅伝直前)は体調不良になれない、怪我もできないというギリギリの中で、とても張りつめた日々を過ごしていたので。今年の出場校の皆さんもそういう心境だと思うので、当時を思い出すだけで身が引き締まる感覚がします」
-12月10日の1次エントリーから本番までの1カ月弱という期間の過ごし方や心境はいかがでしょうか。
「10日にエントリーが発表されると、登録メンバーの16人とそれ以外に分かれることになります。チームとしてまず大事なのは、メンバーから外れた選手も含めて、いかに全員が同じ目線でやれるかというところです」
「練習内容としては、12月中旬に単独走で16kmとか20kmとかの距離を実戦に近いペースで押していく追い込み練習をする大学が多いでしょうか。下旬になると、最後の4km×3本や5km×3本のような練習を入れて仕上げていきます。世の中はクリスマスや年末年始で華やかな雰囲気ですが、別世界の緊張感が漂っています」
「あと、この時期は他大学との情報戦でもあります。29日に暫定の区間エントリー(2次エントリー)が発表されますが、大学によって往路・復路当日のメンバー変更を織り込んでダミーの選手を入れている区間もあります。他大学がどんな練習をしているか、インフルエンザなどの体調不良者が出ているかといったことも含めて、外部に情報を漏らさないことにも神経をとがらせる時期ですね」
中盤区間で決着した出雲&全日本
-続いて今シーズンの学生三大駅伝を振り返っていきます。まず初戦の出雲全日本大学選抜駅伝ですが、國學院大が連覇を果たしました。
「出雲は本当に距離が短いスピードレースですので、夏合宿明けでどのくらいの調子で、どの大学が走れるのかなところを見ていました。優勝した國學院大は、やはりこの距離帯は強いなという印象ですね。3区の野中恒亨選手(3年)が留学生を引き連れて走る快走をみせて、4区の辻原輝選手(3年)の区間新記録にもつながりました。エースの平林清澄選手が卒業した中でも勝つんだという気迫を感じる結果でした」
「一方で、青山学院大や駒澤大は前半区間で流れに乗れず、そこから大きく順位を上げていくのが難しい展開になりました。スピードレースだからこそ挽回が効かないという側面もありますが、青山学院大に関しては想定よりも悪い結果だったのかなと思います」
-続く全日本大学駅伝では、中盤から独走した駒澤大が2年ぶり17度目の優勝を飾りました。
「正直、予想外の部分もありました。國學院大に勢いがあるかなと思っていましたし、他大学に大きな失敗がない中で、駒澤大が約2分差をつけて勝つとは。ゲームチェンジャーの存在が大きかったかなと思います」
「駒澤大は5区の伊藤蒼唯選手(4年)が区間新記録で走りました。全日本の場合、5区はちょっと力の落ちる選手を使いがちな区間なのですが、そこに主力の伊藤選手を置いて、この区間だけで1分半近い差をつけています。佐藤圭汰選手(4年)が復帰して、山川拓馬選手、帰山侑大選手を含めた4年生4人が揃ったことも大きかったですね」
「出雲が振るわなかった中央大が2位、青山学院大が3位に入ってきたことは、箱根に向けて希望が持てる結果となりました。青山学院大に関しては、黒田朝日選手(4年)が飛び抜けた力を持っている中で、黒田選手を生かす駅伝、黒田選手だけに頼らない駅伝ができると、箱根では優勝候補に入ってくるかなと思います」
起用注目の「山」にどうつなぐか
-ではいよいよ箱根駅伝についてお聞きします。今回の総合優勝争いの構図について、どのように見ていますか。
「本当に読めないのですが、世間的に5強と言われる、青山学院大、駒澤大、國學院大、中央大、早稲田大は、やはり抜け出ているなと思います。かつ、そこを追う創価大と帝京大までが展開次第ではチャンスがありそうです。そこから下はシード争いがメインになるかなと思うので、5強を中心にというところですが、本当に読めないですね」
-その5強の中で、あえて優勝に近い大学を挙げるとするといかがでしょうか。
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