少子化が進む中、特別支援教育を受ける児童生徒は増え続けている。中でも知的障害対象の特別支援学校が手狭になっているとして、県教委は宇都宮市の岡本特別支援学校に、知的障害教育部門の校舎を新設し、2032年度にも受け入れを始める方針だ。

 子どもがより安全な環境で学べるようになることは望ましい。一方で日本の特別支援教育を巡っては、国連が22年、通常教育に加われない障害児がいて、その他の子どもと分けられた状態が長く続いているとして、障害者権利条約に基づく勧告を出している。

 この「分離」状態の解消は必要だろう。障害のある子どもも、地域の小中学校で必要な教育的支援を受けながら、地域の子どもと共に学べる体制の構築を目指したい。

 県立特別支援学校16校のうち、知的障害対象の10校の児童生徒は20年間で約4割も増加し、本年度は計2191人となった。特に宇都宮市の富屋特別支援学校に多くが集中し、10年度には鹿沼市西中の敷地内に鹿沼分校が開校した。その後も増加傾向が続き、病弱児対象の岡本特別支援学校に知的障害部門を新設する方針に至った。

 特別支援学校では、障害の特性に応じた専門性の高い教育が受けられる。生活習慣に必要な指導や卒業後の進路指導も充実しているとして、特別支援学校を希望する保護者も少なくない。半面、通常の学区外に通うことになるため、地域との関わりは希薄になる。居住地の学校と交流する機会もあるが、年数回にとどまり、相互理解を深めるには十分とは言えない。

 県教委は新たな特別支援教育推進計画案(26~30年度)で、全教員の特別支援教育に関する専門性の向上や、卒業後も見据えた支援体制の充実を盛り込んだ。市町立小中学校でこれらが実現すれば、障害のある子どもの保護者も、安心して通わせることができるに違いない。特別支援学校の狭あい化の解消に向けては、小中学校の空き教室の活用も検討するとしており、積極的に取り組むべきだ。

 発達障害の早期診断が進んだことなどにより、小中学校の特別支援学級や通級指導教室の児童生徒も増加し続けている。障害の有無にかかわらず、全ての子どもが共に学び能力を伸ばすことのできる「インクルーシブ教育」の実現が求められている。