足利市は旧足利高跡地の土地と建物の売却先として、絶縁システムメーカー「日本理化インダストリーズ」(東京都品川区)を選んだ。同社はサッカーJ2への昇格を決めた栃木シティのメインスポンサーで、跡地をユースチームなどの活動拠点として再生させる。
周辺にスーパーがないため、地域住民が立ち寄れる飲食物の直売所や飲食店も展開し、地域の課題解決にも貢献する考えだ。交通渋滞が起きる懸念はあるため、近隣住民の理解促進にも注力した上で、にぎわいの創出や地域経済の活性につながる施設運営を目指してほしい。
全国では廃校舎の解体撤去費用が土地の評価額を上回るとして、解体を条件に自治体が落札者に費用を支払う「マイナス入札」の例も出ている。旧足利高跡地も校舎や体育館を解体する場合、同様の事態に陥る可能性があった。
だが、市が民間事業者との対話を通じて市場性の有無を模索する「サウンディング型市場調査」を実施すると、建物を解体せずに使用する提案が寄せられた。
このため、建物の再利用を前提とした売却方針を決定。公募に3者から応募があり、審査委員会を経て同社を選定した。購入価格は予定価格を540万円上回る1億1千万円。新たな財源の確保は市にとっても朗報と言えよう。
同社の提案では校庭を人工芝サッカーコート、体育館にフットサルコートを整備するほか、校舎など建物を合宿所に改装し、民間へ貸し出すことも想定している。
文部科学省によると、2023年度までの20年間、本県で廃校になった小中高校は170校に上る。このうち県立高は18校で、使途は民間売却が2校、市町への譲渡が6校、市との財産交換が1校。残る9校は統合先の高校となっている。
人口減が急速に進む中、学校の統廃合はどの自治体でも避けて通れない。学校跡地は自治体の貴重な未利用財産であり、有効な再利用を図ることができれば、地方創生の足がかりにもなるはずだ。
今回の旧足利高跡地のように、民間への売却が順調に進むケースは決して多くない。とはいえ各自治体も地域の実情やニーズを踏まえながら、重要な地域資源の観点から民間売却も含めた有効活用への視野を広げ知恵を絞りたい。
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