若年層による大麻の乱用拡大や市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)が社会問題化する中、県は「とちぎ薬物乱用防止推進プラン」の素案を公表した。今月22日までパブリックコメント(意見公募)を行い、2026年度から30年度までを対象期間とする3期計画を近く策定する。
次期プランでは、交流サイト(SNS)を活用した新たな注意喚起策や心の相談窓口の案内に取り組む。中学・高校で薬物乱用防止教室の100%実施など8項目で成果指標を設けた。乱用が体に及ぼす悪影響に関した啓発の強化や、若者らが抱える悩みに寄り添える支援体制の充実に努め対策の実効性を高めたい。
大麻事件の摘発者は全国的に増える傾向にある。厚生労働省などによると、24年の摘発者数は6342人と前年比5・39%減だったが、依然高水準が続く。摘発者のうち30歳未満が72・5%を占めた。本県の摘発者数も24年は37人と近年は増加傾向である。国は「若年層は引き続き乱用期の渦中にある」と予防啓発の徹底などを打ち出している。
若年層の急増の背景には、インターネットやSNS上で「体に悪影響はない」などの誤情報が流れていることが要因という。実際には、乱用すれば脳に影響を与え、知覚の変化や学習能力の低下などを招く恐れがある。長期間の使用が続けば依存症に陥り、うつ病などの発症リスクを高めるともされる。
県内からX(旧ツイッター)などのSNSで薬物に関する言葉を検索した履歴によって、薬物の危険性を訴えるデジタル広告を配信する「ターゲティング広告」を県は新たに実施する。悩みや不安を抱えていても相談先が分からず、市販薬の乱用につながる例もあり、SNSによる相談案内も行う。SNSのメリットを最大限に生かすべきだ。
中高生への啓発は何より欠かせない。家庭はもちろん、学校での薬物乱用防止教室の100%実施は早期の達成が求められる。健康や人生に深刻な影響を与えかねないことを教育する必要がある。
もし薬物に手を出してしまった場合に、当事者が気軽に相談できる受け皿の整備も重要である。薬物依存症者に対する専門医療機関も現在の1施設から増設したい。将来を担う若年層を社会全体で薬物から遠ざけ守り続ける体制をしっかりと構築すべきだ。
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