県は次期重点戦略(2026~30年度)の成果指標として、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」を、30年までに1・35に引き上げる案を示した。出生率が上向かない現状を考えれば相当に高いハードルである。実現に向け、政策を総動員しなければならない。

 何も対策を講じなければ、県は人口が60年に128万人にまで減ると試算。半面、出生率アップ、人口流出の抑制で約140万人を維持できると展望している。このための中間指標が「1・35」であり、未達は避けなければならない。その先に、人口の維持に必要な出生率2・07や、「140万人」が実現する。

 一方、本県出生率の低下基調は変わっていない。自治体が結婚支援など多くの施策に力を注いでも、1973年の2・36から24年は過去最低の1・15に落ち込んでいる。重点戦略の意見を聞く有識者らの懇談会で、出生率指標について「挑戦的な目標」との声が上がり、道のりの険しさは明らかだ。これまでの殻を破るため、力強く施策を進めることが必須条件である。

 県は重点戦略の策定作業と並行し、官民による県人口未来会議で議論した「とちぎ人口減少克服宣言」を発出した。「オール栃木」の決意を込めた宣言は初であり、危機感の表れだ。その具現化を見据え「出生率の向上」などを中心目標とし、達成に向けたサブ目標、64の課題を整理した人口減少対策マンダラチャートもまとめている。

 重点戦略は、チャートで可視化された課題に対応したプロジェクトに取り組む構えだ。若者向けの将来設計や切れ目のない子育て支援、仕事と家事・育児の両立に向けたサポート体制、経済的負担の軽減など課題は多岐にわたる。一つ一つ丹念に解決を図ってほしい。

 安定的な雇用、長時間労働の是正、賃上げなども重要である。安心して子どもを産み育てる環境をつくるには、産業の安定や成長などを含め、必要なあらゆる施策に総力を上げなければならない。

 県は、マンダラチャートに基づき各団体・企業が具体的な取り組みを盛り込む「アクションプラン」の策定に本腰を入れ始めた。民間の動きの活性化を後押しするためだ。「1・35」の実現には、官民の歯車がかみ合って効果を高め合うことも不可欠だろう。