宇都宮市内にある大学の学生が市の将来へ向けて具体的な施策を考える、「大学生によるまちづくり提案」(宇都宮市政研究センター主催)の発表会が市役所で開かれた。宇都宮大、宇都宮共和大、作新学院大、帝京大、文星芸術大の5大学から計8グループが参加し、「ほっこりした宇都宮 デジタル社会における温かい人間関係」をテーマにアイデアを競った。

 現在の大学生は、デジタルネーティブの10~20代の「Z世代」ど真ん中である。その彼らに主催者側は「ほっこり」「温かい人間関係」というテーマを与えた。誰もが豊かで安心して暮らせる「スーパースマートシティ」の実現には、リアルな形で人と人とが関わっていくことが重要と考えたからだ。

 参加グループが例年より少なかったのは、アナログ感の強いそのテーマも要因か。それでも学生たちの提案は十分に新鮮だった。むしろ、豊富なデジタルの知識が根底にあるからこそ生まれたアイデアだとも感じられた。

 近い将来に就労や子育てなどの当事者となるZ世代の視点は、デジタル社会の中でさらに重要度を増していくに違いない。

 最優秀に輝いたのは、宇都宮大建築計画研究室佐藤ラボの「みんなのたまり場プロジェクト」。多世代交流拠点づくりを目指して峰地区の施設を借りて行った実証実験の結果を基に、地域の特性を生かした「居場所」を考案できれば市内各所で展開が可能だ、などと提案した。デジタルを駆使した分析力が光った。

 このほか、デジタル技術を使って昼間のオリオン通りを遊び場にする「オリオン・ワンダーランド」などが上位に入った。また、国際会議や展示会の総称「MICE(マイス)」推進拠点としてのライトキューブ宇都宮の在り方に一石を投じる辛口の提案も興味深かった。

 今回で21回目。市によるとこれまでに計270件の提案があり、昨年度時点で41件が採用された。宇都宮ジャパンカップサイクルロードレースのクリテリウム開催を後押ししたのも大学生という。

 発表会を経てボールは市側に渡った。財源や運営体制整備など課題は少なくない。これらをクリアして、若者の発想をいかに一件でも多く事業化へ結び付けるられるのか。市側の手腕も問われている。