学校内での生徒間暴力を撮影した動画が交流サイト(SNS)で拡散される問題が本県をはじめ各地で相次いだ。いじめや暴力は決して見過ごしてはならない。同時にプライバシーをインターネット上で不特定多数にさらし、二次被害を招くような行為も許されない。人権を無視した拡散を防ぐ手だてが必要だ。
本県の県立高で撮影された暴行動画を巡っては現在、県警が暴行事件として捜査しており、当該校もいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」に認定し調査を始めた。県教委も対応チームを設け、生徒らの心のケアなどに当たっている。
いじめや暴行そのものへの対応は学校や警察が責任を持って行うべきだ。一方、SNSの普及に伴う新たなリスクは、社会全体で対応を考えることが求められる。
問題の動画は学校や生徒が特定できる状態で流出し、拡散する過程で誹謗(ひぼう)中傷や個人情報の書き込みもあった。動画は関係する生徒間で共有されていたが、SNSで拡散した経緯は調査中という。
拡散に伴い学校や県教委、地元の教育委員会などに、全国から抗議や嫌がらせの電話、メールが殺到した。当該校には投稿用の動画を撮影するため訪れた人物もいた。警察が学校周辺を巡回したり、一部の部活動が大会出場を辞退したりする事態に発展した。
まずは個人的な場面を不用意に撮影したり、安易にSNSで共有したりしないようにする意識を広めたい。悪質な書き込みは名誉毀損(きそん)罪や侮辱罪の対象になりうる。
誹謗中傷の投稿への対応をSNS事業者らに義務付ける「情報流通プラットフォーム対処法」が昨年施行されたが、個別の投稿者に対する削除命令規定はない。
鳥取県は今月、誹謗中傷や差別に当たる投稿をした人に削除を命じ、従わない場合は5万円以下の過料を科せる改正条例を施行した。本県でも検討に値するのではないか。
表現の自由への配慮は当然必要だ。だが無関係の第三者が、特定の個人を標的に一方的に誹謗中傷したり、個人情報をさらしたりする行為を放置するわけにはいかない。
学校や県教委がいじめや暴力をいち早く把握することも重要である。生徒や保護者、教職員らが問題を見聞きしたらすぐに対応できる体制を、改めて確認してほしい。
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