大関和をテーマに講演する田中さん

 【大田原】NHK連続テレビ小説「風、薫る」の原案本「明治のナイチンゲール大関和(おおぜきちか)物語」(中央公論新社)の著者、田中(たなか)ひかるさんの講演会(市、市女性団体連絡協議会主催)がこのほど、本町1丁目の那須野が原ハーモニーホール大ホールで開かれた。田中さんは日本近代看護の礎を築いた和の生涯や執筆時のエピソードなどを披露。県内外から訪れた約1300人が著書に込められた思いを感じ、今春始まる朝ドラへの期待を膨らませた。

 講演会は2部構成で行われた。第1部では和の生涯を軸に人物像や功績などを紹介した。

 田中さんが原案本の執筆を始めたのは2020年ごろ。きっかけは新型コロナウイルス感染症の流行だったといい、「危険にさらされながらも一生懸命働く姿を見て看護師という職業の歴史を調べたいと思った」と語った。

 和と同じ「トレインドナース(正規に看護学を学んだ看護師)」で、原案本では良き理解者として描かれる鈴木雅(すずきまさ)についても紹介。史料では深い親交があったという記録が少ないが「雅さんが人生を懸けて立ち上げた看護婦会を和さんに託している。史料を読む中で、きっと強い絆で結ばれていたと感じ2人の物語を書いた」と執筆秘話も披露した。

 明治時代に卑しい職業とされていた看護師の地位を向上させ、一人の女性として激動の時代を生き抜いた和。田中さんは「選択肢がない時代に選択肢をつくった人」と功績をたたえ、「看護師という職業は今でも女性が自立して生きる選択肢になっている」とまとめた。

 第2部のパネルディスカッションでは田中さんに加え、朝ドラに和菓子屋の女将(おかみ)役で出演するとちぎ未来大使の義達祐未(よしたつゆみ)さんと、県看護協会長の朝野春美(あさのはるみ)さんが登壇。看護師としての和の功績や市の印象、朝ドラへの期待などを語り合った。

 白鴎大3年小池真人(こいけなおと)さん(21)は「大関和はたくましい人だと思っていたが、涙もろい一面があったのは意外だった。朝ドラがさらに楽しみになった」と満足そうだった。

 終了後、田中さんは講演会が盛況だったことに感謝し、「地元の人にこそ大関和をもっと知ってもらいたい。いつかは小学校などで子どもたちを前に講演できたらうれしい」と話した。