防災への関心をより高め、地域の対応力向上などを目的に県は新年度から新たな地域防災人材の育成と支援事業に乗り出す。小中学生向けの取り組みを強化するほか、県内で5250人(2025年9月現在)に上る防災士らを対象としたスキルアップ研修を開催する。

 今年は、本県の4人を含め1万9千人強が犠牲になった東日本大震災の発生から15年、死傷者3千人超の熊本地震から10年となる。地震に限らず、本県でも豪雨や台風による水害は相次いでいる。有事に備えた地道な対策を日頃から積み重ね、防災意識の一層の底上げにもつなげたい。

 県は新年度から、県や大学、NPO法人県防災士会などで構成する「防災教育応援チーム」を小中学校に派遣する。自分の命は自分で守り、地域で助け合う大切さなどを訴えるほか、地域特有の災害や非常食を常備する重要性などを学んでもらう。

 また、防災士の資格を得ても活用する機会が少ないなどの声に応えるため、希望する防災士を対象にスキルアップ研修会を年3回予定する。自主防災計画や避難所運営の在り方を考えてもらう場を提供するとともに、防災イベントの企画立案方法など実務的な研修に努める。

 防災教育応援チームの派遣を前に、その先駆けとなる防災教室が2月下旬、宇都宮市戸祭小で開かれた。市消防団の女性団員が「3日から1週間分の食料を備える」などと児童に具体的にアドバイスした。協力する学校側とともに、こうした意欲的な姿勢が他の地域にも広がってほしい。

 一方、自治会や町内会、マンション単位の住民らが自ら防災計画を作り、災害発生時の被害軽減や迅速な復旧に役立てる「地区防災計画」の策定が県内でなかなか進まない。制度開始から12年目に入ったが、県が2025年度までの目標として掲げた策定地区250以上に対し、24年度末で186地区と及ばない。

 このため県は2月、地区防災計画のモデル例を(1)基本版(2)孤立可能性集落版(3)シンプル版-に分けて紹介した冊子(A4判、30ページ)を千部作成し、市町などに配布する。災害が起きた時に地域の住民が適切な行動を取るために、地区防災計画は欠かせない。計画の策定に地元の防災士らも積極的に関わり、地域防災の推進役になることを期待する。