「38度から40度の熱が出て、喉が痛くて、首(頸部(けいぶ)リンパ節)が腫れました。体がだるく疲労感も強いのが、ずっと長引くのです。なかなかよくならないし、医療機関を受診したら、伝染性単核球症と言われました」という話を学生さんに聞きました。きちんと医療機関を受診し、血液検査を受けたことは幸いでした。
伝染性単核球症の多くは、エプスタインバー(EB)ウイルスというウイルスの初感染で起こります。EBウイルスは、成人のほとんどが過去に感染しています。乳幼児期に初感染を受ける人が多く、その場合には症状を出さない不顕性感染にとどまります。しかし、思春期以降に初めて感染した場合には伝染性単核球症を発症することが多く、好発年齢は10~20代です。
4~6週間の潜伏期間の後に発熱、咽頭扁桃(へんとう)炎、リンパ節の腫れ(特に首のリンパ節)、発疹、末梢(まっしょう)リンパ球数の増加、異型リンパ球増加、肝機能異常、肝腫大、脾臓腫大、眼瞼浮腫などの症状が出ます。口蓋に出血斑が出ることもあり、体に出る赤い発疹は風疹に似ています。まれに喉の腫れが悪化し、扁桃に偽膜を形成して、気道をふさいで呼吸困難となることもあります。
肝臓が腫れることもあり、ほぼ全員で脾臓が腫れます。脾腫は巨大脾腫や破裂に至ることもあるので十分な注意が必要です。脾臓の腫れが引いたことが確認されるまで、他の人と接触するようなスポーツ等は控えましょう。左側腹部が痛いなどの場合は脾破裂などの精査が必要となります。
EBウイルスの抗体検査(血液検査)は多くの種類があり、医師が臨床症状を含めて総合的に判断します。リンパ球の増加も特徴的で診断基準です。
安静を保って、症状を緩和する対症療法となります。多くは2~4週間で改善しますが、数週間も倦怠(けんたい)感が続く人もいます。また合併症としては無菌性髄膜炎や脳炎、知覚異常や手足の麻痺が生じるギランバレー症候群等の中枢神経症状や、まれには溶血性貧血、血小板減少症、再生不良性貧血、B細胞リンパ腫等もあり要注意です。
おかだ・はるえ 医学博士。専門は感染免疫学、公衆衛生学。テレビやラジオへの出演や執筆活動を通じて、感染症対策の情報を発信している。

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