宇都宮市は今月、国民健康保険(国保)税を滞納している市内外国人の情報を出入国在留管理局へ提供する協力要請制度の運用を始めた。納税に応じない場合、在留期間更新などが原則認められなくなる制度で、2027年6月に全国で情報の連携が開始される見通しだ。県内で先駆けた市の取り組みを注視したい。
一方、協力要請制度の運用では、経済的事情や納税への理解不足による滞納と、意図的な未納を的確に区別する姿勢が欠かせない。国保は医療制度を支え合う仕組みであり、負担の公平性を保つには正確な情報提供と相談支援が必要だ。分納や軽減措置など利用可能な制度についてもより丁寧に説明し、滞納を未然に防ぐ取り組みが重要となる。
留学生が通う学校や外国人を雇用する事業者などと連携し、情報提供の基準や在留資格への影響などを周知しながら、公平な負担と適正な制度運用の両立に努めるべきだ。
市によると、24年度の市内外国人の課税対象約4100世帯のうち、収納したのは約3200世帯で、収納率は約68%にとどまった。市全体の収納率92%を大きく下回る。市は30年度の目標に95%を掲げる中、協力要請制度の運用により国籍を問わず公平な納税を促すとしている。日本人と同様、資産の差し押さえを含めた厳正な対応とともに、相談支援も進める方針だ。
協力要請制度は2月末時点で全国の99自治体が導入している。宇都宮市は、原則1年以上滞納があり、差し押さえ可能な資産が確認できない場合に管理局へ毎月情報提供する。今月は約700世帯分となった。管理局は在留期間更新や在留資格変更の申請時に納税証明書の提出を求め、納税に応じない場合には原則手続きを認めないとしている。
昨年4月時点で市内の国保の外国人被保険者は4199人。このうち割合の最多は留学生の約44%でこれに永住者の約25%が続いた。留学生は語学力が十分でなかったり、収入が限られたりするケースも少なくないとされる。
多文化共生社会の実現には、日本の制度やルールを理解しやすくする環境づくりも不可欠だろう。協力要請制度の周知徹底はもちろん、必要な支援に適切につなげられる相談環境も拡充させ、誰もが安心して医療を受けられる共生社会の基盤を着実に構築していきたい。
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