東日本大震災の発生から11日で15年となる。東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質による影響は地元福島県をはじめ本県など広範囲に及び、指定廃棄物や除染土の処理、食品の出荷制限は現在も続いている。改めて現状に対する認識を深め、課題解決のための歩みを着実に進めたい。
福島県内の除染土は、福島第1原発が立地する大熊・双葉両町に整備された国の中間貯蔵施設に集められた。約1600ヘクタールの広大な敷地は、原発事故で避難を余儀なくされた多くの住民が、苦渋の決断で手放した土地である。
2025年末までに約1400万立方メートル超の除染土などが搬入され、厳重に管理されている。20年後の45年3月までに県外で最終処分することが法律で定められている。
しかし共同通信社の調査によると、同県を除く全国の知事のうち、最終処分場の受け入れについて前向きな姿勢を示した知事はゼロで、24人が「現時点では判断できない」、本県など6人は「意向なし」と回答。東京都知事ら16人は無回答だった。
最終処分場の候補地選定は30年ごろから始めるという。それまでに除染土の放射能濃度がどれくらい低減するのか、どれだけ安全性を確保できるのか、裏付けとなるデータとともに説明することが、政府には求められる。
政府は除染土のうち放射性物質濃度が比較的低い土を公共工事などで再利用することで、最終処分量を4分の1まで減らせると試算している。そのためには再利用する土の安全性を証明し、理解を広めることも必要だ。
一方、本県では放射性セシウムの濃度が1キログラム当たり8千ベクレルを超える指定廃棄物の最終処分が、大きな課題である。環境省や県によると、本県の指定廃棄物の量は福島県に次いで多く、昨年末時点で計8137トンが約90カ所で保管されている。
このうち稲わらなどの農業系指定廃棄物は県北の6市町で発生し、各農家が保管していたが、今年1月までに那須塩原、日光、大田原、那須の4市町で暫定集約が進んだ。時間はかかったが、前進したことを評価したい。
指定廃棄物の処理は国が責任を持って進めるとしており、本県には最終処分場に当たる長期管理施設を整備する方針だ。14年に町内の国有林が候補地として選定された塩谷町は白紙撤回を求めており、進展はない。県の有識者会議も15年以降、休止している。
どう着地点を見いだすのか、国が率先し、県、市町、住民らを交えた議論の場を設けることも必要ではないか。
県内では、現在もキノコ類や山菜など14品目の出荷制限が一部の市町で続いている。全国屈指の生産量だった原木シイタケは、県の基準に沿って安全性が確認された生産者から順次、再開されているが、制限中に廃業した農家も少なくない。痛手を受けた生産者の支援に、県は引き続き取り組んでほしい。
県内には現在も福島、岩手両県からの避難者計1158人が暮らす。故郷に戻りたくても戻れない被災者の気持ちは、15年たっても容易に癒やされることはないだろう。本県を第二の故郷と思ってもらえるよう、地域の交流などに官民一体で取り組みたい。
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