4月2日にTBS系で放送が始まるアニメ『氷の城壁』は、人付き合いが苦手な高校生たちを描くみずみずしい青春群像劇だ。他人との間に壁を作ってしまい、幼なじみ以外に誰ともつるまない氷川小雪の前に、なぜか距離を詰めてくる男子、雨宮湊が現れ―。原作は阿賀沢紅茶の人気漫画で、主人公の小雪を演じる声優の永瀬アンナは「高校生や中学生の時に感じていた違和感やモヤモヤをやさしく言葉にしてくれる作品」と語る。(取材・文 共同通信=高坂真喜子)
(1)読んでほろほろと涙
▼記者 原作を読んだ印象を教えてください。
●永瀬 読んでいて、ほろほろ涙が出てきたのは本当にこの作品が初めてでした。高校生や中学生の時に感じていた違和感とかモヤモヤをすごくやさしく言葉にしてくれたような気がして、それまですごく力の入っていた肩がちょっと軽くなる、ほっとするような作品です。絵もすごくかわいらしい。シリアスとコメディーのギャップも、読んでいてとても面白かったです。
▼記者 この作品の魅力はどういったところにあると思いますか。
●永瀬 すべてをネガティブなまま終わらせない。ネガティブな気持ちをうまく言葉にしてくれて、「私こうしたかったんだ」という気づきがすごく繊細に描かれています。そこが『氷の城壁』ならでは、阿賀沢先生が描く作品ならでは、と感じました。
▼記者 肩が軽くなった、ほっとしたというのは。
●永瀬 私は「自分は間違っているんじゃないか」と不安になることがすごく多かったのですが、全部が全部間違っていたわけじゃなくて、当時はそれで良かったんだなと。救われたような気持ちになりました。
▼記者 作品を読んで学生時代を思い出すこともあったんですね。
●永瀬 人間関係を上辺だけで取り繕うことがすごく多かったです。深く関わってしまうと、お互いに負担が増えるような気がして、人の話を聞いてうなずくだけとか…。言ってしまったことに対して、相手は傷ついてなかったかな、みたいな“一人反省会”が始まることも。そういう小さな積み重ねが大きな不安になったりして。でもこの作品はそういうことを一つ一つかみ砕いて、描いてくれました。
(2)これまでにない怒りとつらさ込めて
▼記者 小雪をどのような人物として演じていますか。
●永瀬 とても身近に感じられるキャラクターです。多くの人が共感できる気持ちを持っていると思います。生きていく上で人との関わりは避けられないものですが、「関わりたくない」というわがままや“自己満”の世界で生きているのは学生ならではだな、と。
漫画を読んでいる時は、モノローグは淡々としていると思っていました。ですが収録では、俯瞰した視点ではなく、当事者としての小雪の視線で演じるように言われました。心の中は表情豊かだから、本人が本当にそう思っているように読み、テンションの上下があってもいい、と意識して演じていました。
▼記者 特に印象に残った場面は。
●永瀬 湊を初めて拒絶するシーンですね。なんでそんなに自分のことを気にかけてズカズカと入ってくるんだ、「気持ち悪い」という一言を言います。初めて小雪が「嫌だ」という気持ちを表に出したシーンでもあり、傷つけると分かっていたはずなのに言ってしまった言葉です。心を突き動かされた場面で、収録の時も、これまでにあまりない怒りやつらさを込めて演じられました。
▼記者 登場するキャラクターに対してどう感じますか。
●永瀬 小雪の幼なじみの美姫は、初めて読んだ時は、こうやって悩んでる子もいるんだな、というのは発見でした。
全く理解できないキャラクターはいないです。例えばすごく嫌な風に見えるキャラクターも、このような状況だったら、確かにこういう行動に出ちゃうかもしれないなと。高校の同級生に、小雪そっくりな子と、美姫のような子もいたので、リアルな関係を描いていると感じています。
▼記者 収録の雰囲気はいかがでしょうか?
●永瀬 とても和やかですね。学校の話なので、声出しから始めましょうと、ガヤから撮り始めていました。美姫役の和泉風花さんが声出しを、わーって始めて、その明るさ、元気さでみんながエンジンをかけることが多かったです。
(3)人と心を通わせて
▼記者 今回の主人公を演じ、学んだことはありますか?
●永瀬 一人よがりの芝居ではダメだなと思いました。一人になりたいとか、人とあまり関わりたくないとか、そういう小雪の気持ちに共感できますが、演じる上では人と心を通わせてやらないといけないというシーンがたくさんあったので。
▼記者 声優のお仕事について、面白さや難しさなど、感じていることを教えてください。
●永瀬 何者にでもなれるところが面白いです。今、私は20歳を超えていますが、高校生にもなれますし、イヌ役と言われたらイヌにもなれるし、何者にでもなれて、その人物の人生をたどれるのがすごく面白いです。もともと本が大好きだったので、いろんな人の人生とか物語をなぞるのは好きですね。
▼記者 アニメの見どころ、注目してほしいというポイントを教えてください。
●永瀬 ぜひ音楽に注目してほしいです。登場人物の繊細な心に寄り添うような楽曲がすごく心地よいです。あと、みんなミニキャラになっているシーンは、そうでないシーンとの差がすごく面白いです。シリアスの中に急にギャグシーンが入ると、くすっと笑えます。
【ながせ・あんな】
3月31日生まれ、東京都出身。主な出演作に『呪術廻戦』天内理子役、『サマータイムレンダ』小舟潮役、『超かぐや姫!』酒寄彩葉役など。
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