県立3病院の再整備や求められる役割を検討した県の有識者会議は、いずれも宇都宮市内に所在するがんセンター、リハビリテーションセンター、岡本台病院と、国立病院機構(NHO)栃木医療センターの経営を統合した総合病院化が望ましいとする提言書を福田富一(ふくだとみかず)知事に提出した。

 提言を受け県は新年度、医療関係者や県議会、市町などから委員を選出して基本構想策定委員会を設置し、医療機能や病床数、整備場所、スケジュールを定める基本構想の策定に着手する。さまざまな医療ニーズにどう専門的・効率的に対応するのか、県民本位の新病院像を示すべきだ。

 提言書は新病院の方向性について、高齢化に伴い増加が見込まれる併存症(ある疾患と同時に別の病気を抱える状態)の患者を診る総合診療機能や2次救急、災害医療、新興感染症への対応などを盛り込んだ。

 さらに県立3病院の専門性を生かした医療提供や、医療従事者の人材確保に向けた研修教育環境の充実などを挙げている。

 そもそも県立病院再整備の背景には、各施設の老朽化がある。昨年4月時点で築年数はがんセンターの本館は39年、岡本台病院の入院病棟が35年、3病院の中で比較的新しいリハビリテーションセンター病棟も24年がたつ。中には50年前後の研究棟や作業治療棟を抱える病院もある。各施設を現在地に新設するのではなく、1カ所に集約して建設費削減や採算性を踏まえた経営のスリム化に努める考えは合理的な判断だろう。

 基本構想で重視すべき点は、どのような役割を担う総合病院に位置付けるかだ。有識者会議は、新たな地方独立行政法人「県立病院機構」(仮称)に経営を統合し、持続可能な運営を目指すことを打ち出した。将来的な医療需要を見据え既存の専門領域にどのような特色を持たせるのかなど、あらゆる角度から掘り下げた議論を尽くしてほしい。

 基本構想策定委は新年度、3、4回の会議を予定する。県民が求める適切な医療の提供から、利便性などを考慮した設置場所までを固めるには、場合によっては複数年にまたがる可能性もあるだろう。有識者会議と同様、議論した内容は積極的に情報公開する必要がある。県民の意見に耳を傾けながら、新たな総合病院像を見いだしていきたい。