泣かせようとするあからさまな演出や音楽はないのに、ラスト20分間、親子の愛に、敬意に涙が止まらない。しかも「恋愛なの?」というムズキュンも詰まっている。「ヤングケアラーの話」と聞いただけでは、重たそうで敬遠するという方も、映画「90メートル」(脚本・監督 中川駿)は、先入観を捨てて見てみることをおすすめします。
とある地方で暮らす高校3年生で一人っ子の藤村佑(山時聡真)と、進行性の難病を患っているシングルマザーの美咲(菅野美穂)。平日昼間以外、佑はひとりで母の面倒を見ている。小さい頃から続けてきたバスケットボールも介護のためにやめた。この先、本当は東京の大学に進学したかったけれど、諦めている。美咲は、何よりも息子の幸せを願い「お母さん、大丈夫だから、好きなようにしていいからね」と言う。人生の岐路、2人はどうするのか。
思春期の息子と母のぎこちない距離感と感情の揺れを、せりふで説明しすぎずに描写していく。ケアマネジャー(西野七瀬)の2人への心配りと覚悟も胸を打つ。
佑がバスケ部マネジャー(南琴奈)と久しぶりに会話することになり、2人のやりとりがほほ笑ましく、ムズムズすることこの上ない。Mrs. GREEN APPLEの大森元貴による主題歌「0.2mm」は、映画の空気をなめらかに受け継ぎ、深い余韻を誘う。
心が温まり「よし、生きよう」と思わせる今作は、同時に、ヤングケアラーのこと、人を支えるときの心構えについて、思いをはせることを促している。好場面の数々を紹介する動画を、YouTube「うるおうリコメンド」(うるりこ)で公開しました。映画とあわせてお楽しみください。
▼解説動画URL
https://youtu.be/rk-TDnTadm4
▼映画「90メートル」2026年3月27日(金)公開
・出演:山時聡真 菅野美穂
南琴奈 田中偉登 / 西野七瀬
荻野みかん 朝井大智 藤本沙紀 オラキオ 金澤美穂 市原茉莉 少路勇介
・監督・脚本:中川駿
・主題歌:大森元貴「0.2mm」
・配給:クロックワークス
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