県立博物館の入館者数が2024、25年度と2年続けて10万人を超えた。子どもに人気の出前授業や多彩なテーマの企画展などが奏功し、家族で訪れるケースが多いという。今後も本県博物館施設の中核として県民に足を運んでもらえるよう、従来の枠にとらわれない企画を提案し、魅力向上に努めてほしい。

 同館は1982年の開館後15年はほぼ10~20万人が入館したが、その後は10万人を超えることがほとんどなかった。しかし2022年度に11万人を超えると、24年度にも10万人台を突破。25年度は3月24日に10万人を超えた。2年連続の10万人台は、1994年度以来だという。

 博物館の役割として資料の収集・保管はもちろんだが、学芸員が独自に調査・研究した内容をどのような形で県民に還元するかも重要だ。

 同館は本年度、県内外の博物館などからも展示物を集めた企画展を3回、収蔵物中心のテーマ展を9回実施した。中でも夏休みの特別企画展「とちぎ戦後80年~いま、おやと子で知る 軍隊・戦争と栃木~」には約3万人が来場。県民が体験した厳しい現実を戦争を知らない世代に伝える大切な機会となった。

 また、学校や公民館へ出向いて所蔵資料を紹介する出前授業・講座は本年度だけで約60回開くなど、地道な教育普及活動も多い。こうした取り組みが、入館者増の後押しになったといえる。

 一方で、入館者をさらに増やすには、より工夫を凝らした企画などで同館の魅力を高める努力が必要だろう。

 同館が会長を務める県博物館協会には、県内各市町の83館が名を連ねている。組織力と知見を生かし、複数館同時開催のテーマ展はできないだろうか。例えば歴史的事象をテーマに据え、当時の本県の政治状況や文化、風土などを道具や絵画、文書などで紹介すれば、県内市町の美術館や宝物館、資料館など各館が独自の切り口で参加できる。県立博物館がハブとなることで、巡回展とは違う魅力が生み出せるかもしれない。

 県は県立美術館と図書館、文書館を宇都宮市の県体育館跡地に新築移転し、「文化と知」の創造拠点とする計画を進めている。県立博物館には県民の知的好奇心をかきたてる取り組みを模索し続け、もう一つの拠点として存在感を示してほしい。