賃上げの流れが県内でも定着しつつあるようだ。

 連合栃木がまとめた今春闘の第1回集計結果によると、賃上げ額は3年連続で1万7千円台の高水準となった。賃上げ率は中小企業が大企業を上回っており、大企業の動きが中小にも波及し始めている。

 ただ今後は中小・零細企業の回答が増えるとみられることから、最終的な数字は見通せない。深刻な原油高にも直面しており、楽観はできない状況ではある。

 中小・零細は厳しい経営環境にあることは変わらず、賃上げには適切な価格転嫁が不可欠だ。取引先企業側の前向きな対応と行政の支援という両輪で、中小の賃上げ継続を実現したい。

 連合栃木によると、74組合の組合員1人当たりの賃上げ額(定昇含む)は1万7042円で、賃上げ率は4・94%。前年同期比では273円、0・40ポイント減った。

 従業員300人未満では、賃上げ額が1万5985円で、賃上げ率は5・44%。300人以上は1万7107円、4・91%だった。

 連合栃木は、物価高や人手不足に対する問題意識を労使で共有しているとみている。人手不足感がより強く、危機感を持つ中小の積極姿勢が見て取れる。

 帝国データバンク宇都宮支店の県内企業の賃金動向に関する意識調査では、2026年度に賃金改善を見込む企業は約65%で3年連続6割台となった。過去20年では2番目に高い水準で、企業側の積極的な姿勢がうかがえる。

 理由に「労働力の定着・確保」を上げる企業が7割超と最も多かった。人材確保に苦労する企業は少なくない。賃上げの意識を持ち続け、優良な人材を確保したい。

 賃上げを持続するには、価格転嫁に加え収益力の強化も大きなポイントだ。生産性向上に向けた不断の取り組みが中小企業にも求められる。

 米国とイスラエルによるイラン攻撃をきっかけに、原油高が深刻度を増し、世界経済に影を落としている。中東危機が長引けば、不況と物価高が併存するスタグフレーションの懸念も現実味を帯びる。

 今後の県内経済への影響は見通せず、先行きは不透明だ。それでも賃上げ機運をしぼませないよう、それぞれの企業が業績向上を目指し、行政も強力な支援を継続したい。