県は観光振興の財源の確保に向け本年度、観光関係者、市町などによる有識者会議を設置し検討を始める。
焦点の一つは「宿泊税」だが、他に観光客と市民の価格を分ける「二重価格」、協力金などもある。本県観光の魅力を向上させるため、地域の実情に合った効果的な手法を見いだしてほしい。
新型コロナウイルス禍後、インバウンド(訪日客)は急激に回復した。2024年の県内の外国人宿泊者は27万9千人で過去最多を記録し、県は30年に65万2千人の目標を掲げる。日本人を含めた宿泊者数の実績は830万4千人だ。観光財源を取り入れる自治体は全国的に増えている。全国の観光地と伍(ご)していくため、県も検討にかじを切った。
観光財源の徴収に慎重な意見もある。有識者会議には導入の可否から丁寧に議論してもらう方針だが、県は必要性の説明を尽くしてほしい。会議は県に提言を出す予定だ。
宿泊税は那須町が今年10月、本県で初めて導入する。宿泊者1人に1泊100~3千円を課す。宇都宮、那須塩原両市も検討に入っている。仮に100円に設定しても、県内宿泊者数に鑑みればかなりの額になる。有力な選択肢だ。
先行自治体の導入手法はさまざまだ。京都市は、大きな荷物を携えた観光客のバス運賃を高くし、市民は下げる「二重価格」を導入する。広島県廿日市市は、宮島への船の乗客向けに「訪問税」を設けている。沖縄県の宮古島では「美ら海協力金」を募る。
分担金、負担金、ふるさと納税といった手法もある。メリット、デメリットの吟味が必要だ。その財源のコンセプト、使い道などの議論を深めることが求められる。
観光財源を導入するのであれば、本県観光の課題解決に生かしてほしい。日帰りで日光を訪れて帰ってしまう形も多い。観光関係者らには、周遊してもらい、長期滞在を促す方策を期待したい。冬場の閑散期対策も必要である。
本県には目立ったオーバーツーリズムはないと言われるが、渋滞などはその一つと言える。観光客の快適さを追求することも期待したい。
観光客に受け入れられる制度や、丁寧に理解を求めることは当然だ。事務作業など事業者の負担の大きさにも目配りしなければならない。
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