「刃牙道」より

 平野俊貴監督(右)と、綿引圭チーフプロデューサー

「刃牙道」より

「刃牙道」より

 「刃牙道」より  平野俊貴監督(右)と、綿引圭チーフプロデューサー 「刃牙道」より 「刃牙道」より

 板垣恵介の漫画が原作で、範馬刃牙と「地上最強の生物」である父・勇次郎の死闘を軸に、格闘士たちの闘いを描くアニメ「刃牙」シリーズ。「バキ」「範馬刃牙」に続く最新作「刃牙道」では、日本最強の剣豪・宮本武蔵が現代によみがえり、時空を超えた“異種格闘技戦”が開幕する。ネットフリックスで配信されている刃牙シリーズは、シリーズを重ねるごとに、格闘技文化が根付いた中南米を中心に、海外でも視聴時間が大きく伸びているという。今年2月から配信を開始した「刃牙道」は、ネットフリックスのグローバルTOP10(非英語シリーズ)で2位を獲得した。平野俊貴監督と、トムス・エンタテインメントの綿引圭チーフプロデューサーが、制作の裏側を語った。(共同通信=高坂真喜子)

▼記者 刃牙シリーズは、海外でも人気です。

●綿引 中南米ですごく人気と聞いています。格闘技が人気な地域でもあるので、刃牙シリーズの根底にある「強さ比べ」というテーマが受け入れられたのではないかと考えています。

▼記者 今回のシリーズを作るにあたって、海外の視聴者を意識しましたか。

●綿引 物語の本質を変えるようなことはしていませんが、初めて見る方でもこの作品の良さが伝わるように、監督が非常にこだって、随所にいろいろと工夫していただいています。

▼記者 バトルシーンで特にこだわった点は。

★平野 どこを動かしてどこを止めて見せるか、いつも考えています。全てを動かすわけにはいかないので、(漫画の)決めのコマは使うようにして、見せ場に向かってカットをどれだけ、どのように“積む”かを考えました。戦闘シーンは、殺陣を積んで一つのアクションにするのではなく、(最終的に)決めのコマを見せるためにカットを積んでいっています。

●綿引 「範馬刃牙VSケンガンアシュラ」(2024)は(他作品と)コラボしたので、戦闘の流れとしてどうしてもパンチを紡いでいかないといけませんでした。本編の「刃牙」だと、そういうのは多くなくて、一撃の必殺に至るところまでの思考的プロセスや、いろいろな情景がシーンに入ってくる。ちょっと異質ですね。

★平野 コラボ作品は、(原作がない)オリジナルだから決めのコマがない。どうしても殴り合いになって、カットを積んでしまう。(原作がある作品は)きちんと決めのコマがあるので、そこに向かっていっていますね。

▼記者 絵作りで海外を意識したことはありますか。

★平野 海外では最近、こういったバトルシーンはものすごくカットを積んで、目で追えないぐらい速いシーンになっています。刃牙を今はやりのアクションに変えちゃうと、全然刃牙じゃなくなる、というのを強く感じていました。やっているバトルシーンが、何をしているのかきちんと伝わっていればうれしいです。

●綿引 刃牙という作品の個性を薄めないで、正しく「刃牙らしさ」を伝えていくというのは、一番初めから監督と一緒に突き詰めていっているところです。海外受けするからこうした方がいいという絵作りはしていないですね。

▼記者 格闘技が盛んな中南米以外での、他の地域の手応えは?

●綿引 北米では、特に西海岸側で人気が高いです。現時点ではヨーロッパはそこまででもないですね。いろいろデータを拝見していると、より刃牙に向きやすい地域、文化があると感じて、面白いですね。

▼記者 宮本武蔵のキャラクターを魅力的に見せるために工夫はしましたか?

★平野 原作が面白いので、そのまま描いているというところではありますが、キャスティングは結構意識しています。

●綿引 今回は監督がぜひ内田直哉さんを、ということでキャスティングをさせていただいきました。時代劇のご経験があり、お侍さんが現代によみがえったらどうなるのかというのをしっかりとシミュレーションしていました。町並みや社会の変化に驚きを持って反応する武蔵が新鮮で、ここまでやっていただけるのかと、われわれもびっくりしました。

▼記者 バトルシーンに迫力があります。

●綿引 一番初めのシリーズ「最凶死刑囚篇」(2018)がネットフリックスでできたのが、非常に大きかったです。地上波で放送する作品だったら、(刺激が強い部分などを)はしょるとか、見せないようにする配慮が必要だと思います。そこを「大丈夫です」と、ネットフリックスに言っていただいたから、すごいなと思って。じゃあ、血が吹き出るなどのシーンもすべてやろうということになりました。ちょうどその頃は、配信の影響力が強まっていて、放送や配信の一つの大きな転換期でもありましたね。

▼記者 シリーズは国内でも人気です。

●綿引 原作の板垣先生のワールドをスポイルすることなく、アニメを見て原作を読んだ時に「アニメだとちょっと違ったな」と言われないようにしっかりと届けたい。それを一つのベースに、制作に臨んでいます。