県内で捕獲される特定外来生物のアライグマが、加速度的に増加している。2024年度の捕獲頭数は過去最多の932頭。5年間で7倍以上、10年間では50倍以上に増えた。

 回虫などの寄生虫や病原体を保有することがあり、人獣共通感染症のリスクがある。農業被害や、希少小動物の捕食など生態系への影響も深刻だ。県は今年3月に「アライグマ・ハクビシン防除実施計画」を改訂した。特に力点を置いたのが、適切な捕獲後の処分体制の強化である。

 捕獲後は原則として殺処分されるが、これだけ増えると処分に関わる人々の負担も大きい。県は市町と連携し、心理的にも経済的にも関係者の負担軽減に努めるべきだ。

 アライグマは雑食で環境適応能力が高い。県南の小山、栃木、佐野などや、宇都宮市で捕獲数が多く、県内全域で生息が確認されている。県は過去にペットとして飼われたものが遺棄され、繁殖した可能性が高いとみている。

 農業被害は他の動物によるものと判別しにくい。果樹や野菜の被害が確認されている。24年度のアライグマによる被害額は600万円。ハクビシンの被害額は3400万円だったが、県はアライグマによる食害と誤認された可能性もあるともみている。

 捕獲には農業者が自衛のため携わることが多いという。殺処分の心理的負担は、察するにあまりある。

 改訂計画で県は「電気または二酸化炭素による止め刺し器の配備、地元猟友会との連携など、市町において捕獲個体の処理を行うことができる体制を整備する」としている。着実に実行してもらいたい。最低限、捕獲者の経済的負担はなくすべきだろう。

 殺処分後の適切な処理も課題だ。現時点では市町の焼却施設で処分されたり、埋却されたりすることが多い。動物福祉や公衆衛生にもとることのないようにするべきだ。

 県は最終目標として「県全域からの完全排除」を目標としている。だが、これだけ増えると、根絶は極めて難しい。他県の先進事例を参考にしながら、個体数を持続的に抑制する方策を講じてほしい。

 北米原産のアライグマはもともと日本にいない生物である。心ない人間の行為が原因で、現状に至った。外来生物の適切な管理がいかに大切か、今後の戒めとしたい。