「【九尾】R2 純米大吟醸」

 天鷹酒造(大田原市)は4月25日、政府備蓄の2020年産古米「こしいぶき」で醸した「【九尾】R2 純米大吟醸」を特約店で発売した。

 今回の【九尾】のテーマは「古米でも美味(おい)しい酒は造れる」。25年の米不足や価格高騰を受け、同年7月に政府は酒造向けに政府備蓄米を放出する方針を発表した。備蓄米は最低10トンから購入する必要があり、品質の担保や保管場所の確保などさまざまな問題があった。ただ物価高で節約を強いられる中でも日々の楽しみとして日本酒を飲んでもらえるよう、同社は少しでも商品価格の上昇を抑えるため購入を決断したという。

 同社によると、購入に当たっては、収穫から年数が経過したお米の古米臭(油分が酸化した際の臭い)がどの程度発生しているのか、米の品種は何なのかなど、分からないことが多く、事前準備もままならない状況で手続きが進んだ。しかも同社に割り当てられた備蓄米の品種は、同社がまだ使用したことのない新潟県産の食米「令和(R)2年産こしいぶき」だった。

 このため酒類総合研究所の政府備蓄米に関する酒造特性研究や品種特性データなどの知見を収集。また長年農家として米を栽培している杜氏(とうじ)の経験や、今まで醸してきた【九尾】の経験などを基に小仕込み試験を繰り返した。

 同社の【九尾】企画担当者は「5年物の古米であっても、日本の米農家が精魂込めて育てた米を使っておいしい日本酒を造れると証明するため、持ちうる知識・経験・設備を総動員して挑んだ」と話す。

 精米歩合50%で醸したお酒は、アルコール度数17%。日本酒度マイナス9、酸度1・8。果実感あるジューシーな香り、甘さと酸のバランスが良くやや濃いめの飯米らしいうま味を出した味わいに仕上がったという。「余韻には適度な苦みが複雑さを与え、一杯で飽きさせない。また食中酒としても楽しめる幅の広い酒質で、自信を持ってお勧めしたい」としている。

 希望価格は720ミリリットルで1650円。