小山市が5月1日から、地震の揺れを感知して自動的に電気を遮断する「感震ブレーカー」の購入・設置に対する助成を始める。同市消防本部によると県内初の取り組みで、防災減災の観点から設置を促進するのが狙いだ。

 同本部はチラシやホームページなどを通じて制度をPRする方針だが、市民への周知を徹底し制度の利用件数や感震ブレーカーの設置率向上につなげ、防災力を高めてほしい。

 大地震が起きた際、使用中の電気ストーブが倒れたり、周囲の可燃物が覆いかぶさったりする。地震で停電するが、しばらくして復旧するとストーブが作動して出火する-。これが通電火災である。同様に、損傷した屋内配線や水がかかったコンセントから出火することもある。

 阪神大震災や東日本大震災で原因が特定された火災の6~7割が、電気に起因していた。能登半島地震で発生した石川県輪島市の「輪島朝市」周辺の大火災も、屋内の電気配線が地震で傷つきショートするなど電気に起因した可能性が高いとされる。

 南海トラフ巨大地震や首都直下地震が起きると多数の犠牲者が出ることが懸念されるため、政府も感震ブレーカーの普及促進に努めている。総務省消防庁が2024年度に実施した調査では、10府県と27都道府県内の164市区町村が費用補助など独自の支援制度を設けているが、全国的に少ないのが実情だ。

 感震ブレーカーを設置すれば、停電復旧後の通電火災を防ぐことができる。分電盤に取り付けるタイプやコンセントに差し込んで利用するタイプなどがあり、小山市は新たに購入する市民を対象に1世帯4万円を上限に購入費の2分の1を助成する。

 感震ブレーカーは建物の耐震工事に比べて費用が安い割に、命と財産を守る効果が大きいとされる。助成制度を好機と捉え、市民の関心が高まり個人宅での設置が進むことを期待したい。

 4月に入り、1日には真岡市で震度5弱を観測する地震が発生し、20日に起きた三陸沖地震では2回目となる北海道・三陸沖後発地震注意情報が発表された。27日にも北海道で震度5強の地震があった。大地震発生時の電気火災のリスクを軽減するため、県内他市町も助成制度を検討すべきではないか。