カンピロバクターは、鶏、牛、豚などの動物の消化管の常在菌です。このため特に鶏肉では十分な加熱をせずに食べたり、調理した人の手や調理器具などを通じ、菌が口に入って感染してしまうことがあります。これは、大量の鶏を処理する食肉加工の作業の中で、消化管内の菌が精肉に付着することがあるからだと考えられています。

 

 潜伏期は通常2~5日で、下痢(水様性、血便、粘血便)、腹痛、嘔吐(おうと)、頭痛などの症状が出ます。下痢は1日に数回ですが、重症な例では大量の水様性の下痢によって、急速に脱水症状に至る場合があります。ほとんどは予後良好ですが、下痢、嘔吐、腹痛、血便などがひどいときは、自己判断で下痢止めなどを飲まずに医療機関を速やかに受診します。

 重症例には対症療法と抗菌剤(マクロライド系抗菌剤)による治療が行われます。下痢止め薬は排菌を遅延させる可能性があるので使用しません。また、感染から1~3週間後にギラン・バレー症候群という複数の末梢(まっしょう)神経に障害が起こる病気を発症した例もあります。症状が収まっても、菌が便中に2~3週間も排せつされてきますので、日常的にトイレの後の手洗い励行が大切です。

 鶏肉は白くなるまで火を通します。基本的に肉類は十分に加熱しましょう。また、調理の順番が大切です。サラダ、あえ物などの非加熱の料理を先にし、ラップをして冷蔵庫に保管。その後、鶏肉やひき肉などの肉料理に取りかかります。手や調理器具を介した感染を防止するためです。まな板、包丁などの調理器具は肉類専用、野菜類専用に分けるか、使用後はすぐに洗って、熱湯で消毒をします。また、鶏肉や生肉を触ったら、他のものを触る前に手は液体せっけんで2度洗いをしましょう。

 さらに、冷蔵庫で肉類を保存するときもビニール袋を2重にするなど、液漏れにも注意します。バーベキュー、焼き肉、鍋物でも、生肉に使った箸やトングと、食べるとき・取り分けるときの箸は分けておいしくいただきましょう。

岡田晴恵教授
岡田晴恵教授

 

おかだ・はるえ  医学博士。専門は感染免疫学、公衆衛生学。テレビやラジオへの出演や執筆活動を通じて、感染症対策の情報を発信している。