胃腸炎や食中毒を起こすサルモネラ菌について、お話しましょう。サルモネラ菌は、牛や豚などの家畜や鶏などの家禽(かきん)のほか、鳥類や爬虫(はちゅう)類、両生類などの腸管の中に常在菌として存在しています。
加熱が不十分な鶏卵や鶏、牛、豚などの食肉を食べたことのほか、人や鳥、牛などの動物の糞(ふん)便で汚染されたものにサルモネラ菌が付着していることがあるため、それを口から摂(と)れば感染します。また、カメやヘビなどの爬虫類、カエルやイモリなどの両生類もサルモネラ菌を持っています。ペットを触った後にはよく手を洗いましょう。
潜伏期は通常12~36時間で、3、4日のこともあります。発熱、嘔吐(おうと)から、腹痛、下痢、血便を起こします。下痢は3、4日、もしくはそれ以上も続き、日に何度も起きます。38度以上の熱があり、日に十数回の水様性の下痢、血便、粘血便がみられる症状では、サルモネラ菌が疑われます。速やかに医療機関を受診します。
治療は、脱水症状と腹痛などの症状に対症療法が行われますが、下痢止めについては、菌の排出を遅らせる可能性があるため使用しません。自己判断で下痢止めを飲むことは避けましょう。サルモネラ菌感染症のワクチンはありません。
サルモネラ菌の食中毒は、牛、豚、鶏などの食肉や卵、ウナギやスッポン等もあります。ネズミやペットによる食品の汚染もありますから、ネズミ、ゴキブリ、ハエなどの駆除も大事です。生肉、魚、卵を触った後は手洗いをします。調理器具やまな板、包丁などは良く洗い、熱湯消毒をします。食肉、卵は中心部まで火を通しましょう。
日本の卵は衛生管理が行き届いていますが、購入した卵は冷蔵庫で保存し、賞味期限内に食べるようにします。自家製マヨネーズや卵かけご飯など加熱不十分な料理で感染することもあります。卵の割り置きはせず、食べる直前に割りましょう。また、半熟で食べるときも、調理後は早めに食べましょう。サルモネラ菌は熱に弱いので、食器類の熱湯消毒も有効です。
おかだ・はるえ 医学博士。専門は感染免疫学、公衆衛生学。テレビやラジオへの出演や執筆活動を通じて、感染症対策の情報を発信している。

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