錦鯉の長谷川雅紀(左)と渡辺隆

 錦鯉

 インタビューに応える錦鯉の長谷川雅紀

 インタビューに応じる錦鯉の長谷川雅紀

 インタビューに応える錦鯉の渡辺隆

 ポーズをとる錦鯉の長谷川雅紀と渡辺隆

 錦鯉の長谷川雅紀(左)と渡辺隆  錦鯉  インタビューに応える錦鯉の長谷川雅紀  インタビューに応じる錦鯉の長谷川雅紀  インタビューに応える錦鯉の渡辺隆  ポーズをとる錦鯉の長谷川雅紀と渡辺隆

 「M―1グランプリ 2021」の優勝コンビ「錦鯉」(長谷川雅紀、渡辺隆)が、5月23日の東京公演を皮切りに、10都市で12公演の独演会ツアー「その男、バカにつき」を開催する。4年目となる独演会にかける思いや、長谷川の結婚生活、渡辺の新たな挑戦などについて、話を聞いた。(取材・文 共同通信=近藤誠)

(1)独演会は「自由にやれる場所」

―独演会の魅力は。

 長谷川 本当に2人だけでやれますから。テレビではネタにしろ、バラエティーにしろ、規制とかね、言っちゃいけないこととかあるじゃないですか。舞台は、そういうのがないんです。例えば漫才でも4分半とか3分とか言われるところを、全然気にしなくていい。好き勝手にできるっていうのがうれしいですよね。

 渡辺 自由にできるというのもあるんですけど、みんなが思っている錦鯉と、われわれが思っている錦鯉ってちょっと違う。その辺のギャップとかも、どんどん見せていきたいな。本来の自分たちを出せる場所だなっていうのはありますよね。

 長谷川 テレビの中の僕らのイメージを持った皆さんは、ライブの錦鯉を見て、意外に思われるかもしれないですね。あまり意識はしてないんですけどね。

(2)こんにちはの化身 

―子ども人気については。

 渡辺 お子さんのファンができたのは、本当にわれわれとしても想定外です。

 長谷川 もともと「こんにちは!」だって、同年代のお客さんの前で普通にやっていたんですよ。今では、ロケの最中に子どもが「こんにちは!」って言ってきて、こっちも「こんにちは!」と返したら、「こんにちは!」「こんにちは!」って、終わらなくなるんですよ。

 「錦鯉だ」とか「まさのりだ」じゃなくて「こんにちはだ」って言われますし、子連れのお母さんには「あ、こんにちはがいるよ」と言われることもあります。まさか自分が「こんにちは」になるとは思わなかったですね。

 渡辺 「こんにちはの化身」ですからね。最初のコンセプトは、大きい声であいさつする、やばいおじさんだったんですけどね。

―昨年の独演会では雅紀さんが客席を練り歩くネタもありました。

 渡辺 「まさのり音頭」ですね。

 長谷川 今年はラッパを吹きながら練り歩く予定なので、ぜひお子さんを引き連れて歩きたい。

(3)脳みそミニマリスト

―新ネタを覚える秘訣は。

 渡辺 物忘れはすごいけど、ネタをよく覚えてるよね。どうやって覚えてるの?

 長谷川 覚え方は自分でもよく分かってないですけど、確かに物忘れがひどいんですよ。隆にも奥さんにも心配されるぐらい。物を忘れて空いた分だけ入ってくる、不思議なタンスシステムというか。

渡辺 脳みそミニマリストだもんね。意外とすっと(ネタが)入るよね。きれいに抜けるから。ネタが飛んでもお客さんにバレない。

 長谷川 今は大丈夫だけど、ここからは下り坂というか未知の領域。7月で55歳ですから。でもやるだけやり切ろうかなと思っています。舞台で倒れたら本望だとは思いますね。

―若くして売れた芸人さんが中年になると、楽屋で健康や病気の話題ばかりになると聞きます。遅咲きのお2人は、テレビの世界に入った途端に、そういった話題に巻き込まれた感じだったのでしょうか?

 渡辺 巻き込まれるっていうか、すでに体が痛かったですからね。逆にね、若手のライブの楽屋にそれを持ち込んでいたっていうのがあるよね。「また痛そうだな、あの人たち」って言われて。それが申し訳なかったですね。テレビに出るようになったら、同じような話が繰り広げられていたわけです。

(4)ライブがダサくなる?

―(インタビュー場所の)こちらが、お笑いラジオアプリGERA(ゲラ)の番組「錦鯉の人生五十年」の収録スタジオなんですよね。番組で「キングカズが59歳でも現役ですごい」ってお話をしていました。

 渡辺 スポーツ選手は選手寿命があるけど、お笑いだと還暦は当たり前じゃないですか。

 長谷川 それこそ、ザ・ぼんち師匠とか。あれだけ動いて大きい声を出している大先輩がいるから、心強いですね。

 渡辺 監督とかコーチよりも、カズさんは年上なのかな。

 長谷川 周りがちょっと気を使いそうじゃないですか。

―錦鯉が若手のライブに出演していた時のような感じでしょうか。

 長谷川 だいぶ上の先輩がライブにいたら、若手も気を使うだろうしさ。「気にしてないですよ」とか「全然」とか言いながらも、絶対気にしてたよね。

 渡辺 俺らが若手の空気を読まないから、できていたんだよな。ライブがダサくなるなとか、思われていただろうね。

 長谷川 後輩がいじってくれたのが、ありがたかったですね。すぐに怒るような先輩は、後輩も多分いじれないから。

 渡辺 カズさんもいじりやすいのかな? でもそれぐらい慕われているからこそ、60歳まで現役を続けられるんだと思いますよ。

(5)渡辺隆、新たな挑戦

―ラジオと言えば、文化放送の新番組「錦鯉・渡辺隆の深夜、オヂさんは大胆に」が始まりました。

 渡辺 1人でラジオをやる機会をもらえたのは本当にありがたいですね。1人と2人って全く別なものなんだなって思いますね。

―何人もが出演している番組に、1人で出るのとはまた違うのでしょうか?

 渡辺 全く違いますよね。これってやっぱり経験しとかなきゃいけないもので「あ、そうか。あいづちとかもないよね」とか実感しました。やりづらかったけど、最近だんだん慣れてきました。自分のペースでしゃべっていいんだ、人との会話じゃないんだっていうのが、新しい発見ですよね。

―おじさんの、おじさんによる、おじさんのための番組。

 渡辺 聴取分布を見たら、マジでおじさんしかいないんです。ちょっと引きましたね。

(6)妻との同居で笑いがパワーアップ

―雅紀さんが奥さまと同居を始めてから、注意されたりしかられたりするエピソードがどんどん生まれています。

 長谷川 人生でシーツとか枕を一回も洗ったことがなかったんですけど、今は洗いますもんね。仕事から遅い時間に帰った翌日でも、朝はまず一回起きろって言われるんですよね。

 渡辺 休みの日でも、同じ時間に起きるの? 

 長谷川 そう。横になって昼寝してもいいけど、8時にはとにかく一回起きろと。それから結婚前はシャワーを浴びてから出かけるスタイルだったんですけど、毎日風呂に入ることになりました。汚れた体で布団に入るんじゃなくて、きれいになって入る。出かける前にシャワーを浴びなくていいから、ちょっと時間に余裕もできました。

 渡辺 いいことじゃん。オオカミに育てられた子が、人に引き取られたみたいな。

 長谷川 まさにちょっと教育されてるというか、人間らしくなっています。

―奥さまとの同居が、コンビの笑いに生きているところはありますか。

 渡辺 雅紀さんが奥さんに怒られた話はめちゃくちゃ面白いので、生かすどころじゃない。ストレートに使っていると思う。今まではちょっと遠い人から、人として怒られてきていたんですよね。でも奥さんって一番身近な人じゃないですか。だからこれは人としてというより、雅紀さんを怒っているんですよ。すごい臨場感があるし、これは雅紀さんしか怒られないよねみたいな話がいっぱい聞けるんで、本当に感謝しています。

―友達として付き合う分には楽しいけど、家族とか、結婚相手としてだと困るということでしょうか。

 渡辺 ドラえもんはいいけど、大飯を食うだけで何もしないオバQみたいな居候は嫌じゃないですか。

(7)バカを突き詰める

―最後にファンへのメッセージを。

 長谷川 われわれは老若男女、生まれたてから犬まで、全生き物が笑うってくらい間口が広いコンビです。今回の新ネタも、いったい何を見ているんだって思わせるぐらい、バカバカしい面白さがいっぱいの自信作ですね。

 渡辺 「その男、バカにつき」のタイトル通り、この男がバカであるってことをあらためて伝えたい。われわれはバカに助けられてここまで来ましたので、バカっていうのは素晴らしいものだっていう、悪口じゃない側面を見てほしい。バカとはもう一生付き合っていかなきゃいけないんで、バカという哲学を突き詰めたいと思っております。

 錦鯉独演会「その男、バカにつき」

5月23日ヒューリックホール東京

5月30、31日北海道・共済ホール

6月7日群馬・高崎芸術劇場スタジオシアター

6月13日宮城・多賀城市民会館小ホール

6月14日愛知・中電ホール

6月20日福岡・電気ビルみらいホール

6月21日岡山・オルガホール

6月28日新潟市民プラザ

7月4日大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)ホール

7月5日静岡・清水テルサ

7月18日東京・一ツ橋ホール