2027年入社の新卒採用活動が本格化している。数年続く売り手市場は変わらず、中小企業を中心に人手不足感は続いている。

 新卒需要は底堅いが、既卒や中途採用を増やす企業も目立ち始めた。デジタル領域をはじめ変化のスピードが激しいだけに、企業には柔軟に対応できる多様な人材の確保が不可欠だ。

 下野新聞社の県内上場企業21社へのアンケートでは、来春の採用を「増やす」と答えた企業は前年より1社増え9社、「前年並み」も9社だった。増やしたい人材は「大卒」との回答が最も多く、将来を担う人材確保や事業拡大を視野に入れた採用方針とみられる。

 あしぎん総合研究所によると、デジタル化などにより効率化が進んだ製造業の一部では人材確保に一服感があるものの、全体的には意欲的だという。一方で新卒が採用しづらいこともあり、中小零細企業の中には既卒・中途の採用を増やす企業が増えている。

 ある企業は、県外に就職した学生がUターンで戻るタイミングでの採用を視野に入れる。人手に充足感がない中では、新卒にこだわらず、違ったターゲットに絞った採用戦略も必要だろう。

 既卒・中途は、経験があるため即戦力として期待できる。教育にかける時間やコストも省ける。以前に比べ人材が流動化している状況だけに、既卒・中途へのアプローチを強めるのも有効だ。

 一方、共同通信社のアンケートでは、新卒採用を「減らす」との回答が「増やす」を5年ぶりに上回った。既卒・中途採用へのシフトが垣間見られ、実際に新卒予定数を中途が上回る見込みの大手企業もある。先行き不透明な経済情勢が影響した可能性はあるが、採用方針の変化を表しているとも言える。

 人材確保では、給与や福利厚生などの条件面は重要な判断材料となる。大手では初任給を大幅に上げる企業も少なくない。将来の退職一時金の給付制度を廃止し、廃止分を毎月の給与に上乗せすることで、若年層のやる気や定着率を向上させようという取り組みを始めた企業もある。

 中小零細も賃上げに取り組んできたが、物価高などから限界もある。仮に条件面で劣っても、やりがいのある職場づくりなど学生らをひきつける魅力磨きは欠かせない。