地方に移住して活性化に取り組む「地域おこし協力隊」の2025年度定住状況調査で、任期を終えた後の定住率が本県は75・6%で全都道府県のうち7番目の高さだった。移住・定住先として隊員に評価された結果といえる。この高評価を協力隊にとどまらない本県への移住促進の呼び水としたい。

 総務省が20~24年度の5年間で任期を終えた隊員を対象に調べた。本県は任期が終了した123人のうち、93人が赴任先か近隣市町に定住していた。全国の定住率70・3%を5ポイント余り上回っている。

 協力隊は1~3年程度の任期で、地域で暮らしながら受け入れ自治体が設定したミッションに取り組む。本県では県と宇都宮市を除く全自治体で受け入れ実績があり、本年度は18市町で86人が活動している。本県の魅力だけでなく課題や難点も任期中に知った上で定住先として選んでくれた隊員経験者を心から歓迎したい。

 定住率の高さは、県や受け入れる市町の取り組みのたまものでもある。任期後を見据えた研修を任期中から行い、隊員経験者を中心に現役隊員をサポートする組織の立ち上げを支援するなど、定住につながるよう後押しをしてきた。県、市町は定住率の高さをもっとアピールしていい。

 定住した隊員経験者には実体験に基づく情報発信を期待したい。地域に根ざした協力隊の活動で得た知見には、ただのPR情報にはない説得力があるはずだ。県は現在、経験者2人を移住促進コンシェルジュとして、移住を検討している人へのアドバイスや移住後のサポートなどに一役買ってもらっている。経験者の発信力が発揮されるよう、県や市町はこうした協力の仕組みをさらに拡充してほしい。

 人口減少は、本県もその流れのただ中にある。25年の人口で見ると、死亡数が出生数を上回る「自然減」が約1万6千人に上り減少傾向に歯止めがかからない。転入出数は転入が約5千人上回ったが、日本人に限れば転出が約2千人多く転出超過が続く。

 そんな中で任期後も定住する隊員は貴重だ。「よそ者」の視点を持ちながら地域活性化に貢献する人材は、財産でもある。県外に目を転じれば、隊員経験者が村長になった長野県南箕輪村の例もある。本県の高い定住率に、移住促進への光明を見いだしたい。