新型コロナウイルスの感染症法上の扱いが季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられてから、3年が経過した。全国と同様に、県内でも夏と冬にある流行の波は減少傾向にあるが、他の感染症に比べ死者数は高齢者を中心に依然として多い。

 高齢者や基礎疾患がある人にとって、重症化リスクがなお高いのが現状だ。5類移行によって行動制限や感染対策が緩和され、日常生活の緊張感は薄らぐ一方、命に関わる感染症であるということを忘れてはならない。世代にかかわらず、基本的な感染予防対策を引き続き心がけることが重要だ。

 厚生労働省の人口動態統計によると、新型コロナによる県内の死者数は2021年が129人だったのに対し、22年は702人に増加。5類に移行した23年は651人、24年は609人、25年(11月まで)が411人と、ピーク時よりは減少傾向にあるものの高止まりしている。

 全国の死者数は24年が約3万6千人、25年も2万人を超えている。24年は死者の97%を65歳以上が占め、6割が85歳以上だった。高齢者や基礎疾患のある人は、感染後に糖尿病や心不全などが悪化して多臓器不全で亡くなったり、回復後も認知機能が低下したりするケースなどがある。

 県内では医療機関をはじめ高齢者や障害者施設で、警戒が続いている。県は高齢者施設などでの集団感染を防ぐため、施設職員を「感染症対策コーディネーター」に認定する独自の取り組みを24年度から始めた。県内計900超の施設に各1人以上の配置を目指し、年間約300人を養成している。

 感染症の専門知識を持つ医師ら13人を「地域アドバイザー」に選定し、感染症対策の研修やコーディネーターへの助言も行っている。変異を続けるウイルスに注視しながら、こうした対策を続け、感染者や死者を減らしたい。倦怠(けんたい)感や睡眠障害など後遺症に悩まされている人への支援の充実も必要だ。

 政府は23年に感染症対応の司令塔役となる「内閣感染症危機管理統括庁」、25年には次の感染症危機に備えるための専門家組織「国立健康危機管理研究機構」を発足させた。自治体などと連携体制を築き、水際対策とともに、丁寧な情報発信を続けることを求めたい。