「ジゼル」の一場面((C)2026 Helen Maybanks/ROH)

 「ジゼル」の一場面((C)2026 Helen Maybanks/ROH)

 金子扶生((C)ROH)

 金子扶生((C)Toru Hiraiwa)

 「ジゼル」の一場面((C)2026 Helen Maybanks/ROH)  「ジゼル」の一場面((C)2026 Helen Maybanks/ROH)  金子扶生((C)ROH)  金子扶生((C)Toru Hiraiwa)

 世界最高峰のバレエ団の一つ、英国ロイヤルバレエ団が7月3~12日に来日公演を行う。12日に東京・NHKホールの昼公演で上演する「ジゼル」では、磨き抜かれた踊りと見る者の共感を誘う表現力で存在感を放つプリンシパルの金子扶生が主演を務める。

 愛を誓った貴族の男アルブレヒトに裏切られ、死後に霊となりながらもその愛を貫く村娘ジゼルの物語。演出を手がけたのは英国の代表的な振付家のピーター・ライトで、40年以上上演されている傑作だ。

 これまでさまざまな主役を演じた金子だが、今年2~3月の英国での公演でようやくジゼル役のデビューを果たした。「待ちに待っていたので幸せしかない感覚だった。自然に役柄が自分に入ってきた」と笑顔を見せる。

 心を寄せるのは、「心が傷つき狂乱しながらも一切相手のせいにはしない」というジゼルの純真さ。第1幕で心臓が弱いジゼルが母親の許しを得て踊る場面では、ジゼルの喜びと「やっとこの役を踊れる」との自身の思いが重なった。

 アルブレヒト役のワディム・ムンタギロフとは今年2月に結婚したばかり。何度も共演してきたが「信頼感が一層高まり、2人で良いものをつくろうという気持ちがもっと強くなった」という。

 2011年の入団当初は「これまで本当のバレエを見たことがなかったのではないか」と感じるほど、バレエ団の「演劇面の表現力」に圧倒された。「間の使い方がとても上手なんです。決して急がない」。振りむき方や目線の向け方によって感情がどのように客席に伝わるか。ベテランダンサーに囲まれながらしぐさの研究を重ね、自分なりの役作りを追求した。「ジゼル」など名作を踊るときはバレエ団の「伝統を継ぐ感覚」も抱く。 

 プリンシパルとなった今、ロイヤルバレエ団で踊る意味をかみしめている。「誇りを持って、自分ができることを全てしていきたいです」