斎場で火葬し、収骨後に残る骨や灰などの「残骨灰」を民間業者に売却する取り組みが、県内の自治体でも広がり始めた。昨年度、小山、下野など2市2町で構成する小山広域保健衛生組合が運営する斎場「小山聖苑」で導入し、本年度からは宇都宮市の斎場「悠久の丘」でも売却に切り替えた。
残骨灰には、歯科治療などで使われた金や銀、パラジウムといった希少金属が含まれている。売却は、有価物の資源循環を明確に推進するとともに、売却収入を火葬場の運営管理や維持修繕などの費用に充てるのが目的だ。
施設の維持管理には多額の経費がかかるだけに、財源化の成果を注視したい。鍵となるのは残骨灰の尊厳への配慮と、住民の理解である。
売却に当たっては、両斎場とも入札を実施している。同組合では火葬1件当たりの契約単価は1万483円で、初年度は約1800万円の収入だった。同市では本年度当初予算で火葬1件6千円として試算したが、入札では貴金属相場も影響して1件1万3266円の契約となった。予算比約2倍の8600万円の売却収入が見込まれる。
こうした一定の売却収入を活用できるため、厳しい財政状況下、県内の他の自治体にも残骨灰売却の取り組みが広がっていくだろう。
しかし、故人への敬意と遺族の気持ちへの配慮が必要な特別な業務である。実施に向けては住民理解が不可欠だ。
同市では2024年度の市政世論調査で残骨灰への市民意識も聞いた。売却による財源化については「賛成」「どちらかというと賛成」を合わせ賛成が全体の77・4%を占めた一方、自治体における財源化の取り組みには「知らなかった」が81・8%だった。
今後導入する自治体は(1)有価物の資源循環を図る(2)売却収入を火葬場の維持管理の財源にする(3)尊厳に配慮し有価物回収後の残骨灰は適切に埋葬して供養する-などの説明を十分に行い、理解を図って取り組んでほしい。
両斎場とも売却先は仙台市の同じ民間業者となり、埋葬先も山形市内の霊園となる。霊園では定期的に供養が行われるという。霊園での残骨灰の埋葬・供養に職員が立ち会った同組合では今後、有価物の抽出量など売却実績の公表を検討している。情報の共有の実績を積み上げたい。
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