多くの観光客でにぎわう東京・原宿。夜のとばりが降りた後に街を歩くと、ネオンや店舗の照明で光にあふれ、昼とは違う表情を見せていた。
午後7時過ぎ、JR原宿駅から竹下通りに足を踏み入れる。まだ開いている店も多く、通り全体が店頭や看板の明かりでキラキラしている。クレープ店からは甘い香りが漂ってくる。そんな街の風景を撮影していると「何の撮影ですか」と若い男性が話しかけてきた。
筆者が記者だと知ると、自身は就職活動中の大学生で新聞社も受けたと語り、「なぜ記者を志したのですか」とまっすぐな目で聞いてきた。約30年前の記憶をたどってなんとか答え、彼と別れた。
竹下通りを過ぎ、衣料品店などが集まる「裏原宿」エリアへ。店の多くは閉まっていたが、路地の奥にレンタルのアートスペース「デザインフェスタギャラリー原宿」があった。大小の展示室から壁面まで70以上のスペースを有する、原宿のアート発信地の一つだ。展示は午後8時までだったものの、建物自体にさまざまな壁画が施され、目を楽しませる。
しばらく歩くと、小さなビルの前で豚の形をした看板を発見。地下1階の古着店「Pigsty原宿店」のもので、ちょうど店を閉めて階段を上がってきた店員が「うちのシンボル的存在です」と笑顔で話してくれた。
小腹がすいてきたところで路地裏に赤ちょうちんが見えた。「ある意味、原宿の明かりだ」と思い「食堂ふくや」の中へ。小雨も降る中での散歩だったこともあり、おでんの温かさが身に染みた。
帰りに筆者が大学生だった1990年代にアルバイトをしていた裏原宿の飲食店の前も通ってみた。もう別の店になっていた。亡きママさんに「就職おめでとう」と言われたときの自分と、この日会った大学生の顔がふと重なった。時の流れを感じつつ、若者の街を後にした。
【ちなミニ】デザインフェスタギャラリーはカフェバーなども併設。
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