分譲マンションの維持管理を巡る問題が宇都宮市で顕在化している。建物の老朽化と区分所有者の高齢化という「二つの老い」が重なり、修繕積立金の不足や管理組合役員の担い手不在が深刻化する。
管理が行き届かない「要支援マンション」も確認され、市は本年度、管理組合への伴走支援に乗り出した。構造的課題に正面から向き合う取り組みとして歓迎したい。
管理不全が続けば、大規模修繕や設備更新は滞り、外壁の剥落や鉄筋腐食といった安全リスクの増大は避けられない。影響は居住者にとどまらず、周辺住民にも及ぶ恐れがある。問題が深刻化する前に、長期修繕計画の見直しや積立金水準の適正化を促すなど、予防的な対応が不可欠だ。
市内の分譲マンションは1970年代には4棟で、80年代以降、東北新幹線開業などで都市化が進み、供給は増えた。近年も次世代型路面電車(LRT)整備や再開発に伴い新築が相次ぎ、2025年末時点で190棟に達した。一方で既存の老朽化は着実に進む。市の調査では少なくとも7棟が要支援とされ、今後さらに増える可能性がある。
背景にはマンション特有の課題がある。修繕や設備更新は区分所有者の合意形成が前提だが、築年数の経過とともに区分所有者で構成する管理組合の役員の担い手が不足し、機能が低下するケースが見られる。大規模修繕が2度、3度と重なるにつれ費用負担は増し、多様な価値観の中で合意形成のハードルは一層高まる。規約や組織があっても機能していなければ、法改正や工事費高騰といった環境変化に対応することは難しい。
こうした中、市がマンション管理士と連携し、課題整理から解決までをアウトリーチ型で支援する意義は大きい。問題の深刻さを踏まえた現実的な対応と言える。ただし行政支援には限界がある。管理の主体はあくまで区分所有者であり、共用部分を含めて「自らの財産」との認識を共有し、主体的に関わる姿勢が欠かせない。他人任せでは持続可能な管理は成り立たない。
「二つの老い」は全国的な課題でもある。他県では管理不全が深刻化し、行政代執行により解体に至った事例もある。問題を個々のマンションにとどめず、地域課題として捉え直す視点が必要だ。マンション管理の在り方を改めて問い直す時期に来ている。
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