つえホルダーを知っていますか-。壁や机などに取り付け、つえが倒れないように固定する器具だ。つえを利用している福島県郡山市の60代男性から「選挙の投票所などに、つえホルダーを設置してもらえないでしょうか」と不便さを訴える投稿が寄せられた。投票所という公共の場は、高齢者や障害のある人に優しい環境なのか。福島民報社「あなたとともに 福島特命取材班」は手始めに、人口規模が大きい県内4大市の設置状況を調べた。今秋には、県内全ての有権者が対象となる知事選が控える。身近な投票所はさて、どうか。(福島民報)

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 投稿を寄せた男性は数年前、事故に巻き込まれ左足に後遺症を負った。長い距離を移動するときはつえが欠かせない。店のレジや役所の窓口カウンターでつえを立てかけた際、固定できずに滑らせて床に倒してしまうことがある。自らが転倒しないように気を付けつつ、つえを拾い直すのに苦労した経験を何度もした。

肩身の狭い思い

 中でも気まずい思いをしたのは、選挙の投票所だったという。投票用紙に記入していたところ、つえが床に倒れてしまった。静かな空間で衝撃音が響き渡り、他の有権者らに申し訳なく、肩身の狭い思いをした。「安心して投票用紙に記入できるよう、つえホルダーを置いてほしい」と願う。

 福島、会津若松、郡山、いわきの4市の選挙管理委員会に、つえホルダーの設置状況を尋ねた。福島市は昨年7月の参院選から、全ての投票所の記載台につえなどを立てかけられる滑り止めシートを置いた。市民から要望があり、対応したという。

 郡山市は数年前から一部の期日前投票所につえホルダーを設置している。会津若松、いわきの両市はこれまでに設置してこなかった。ただ、郡山、会津若松、いわきの3市はいずれも、市民から設置要望があった場合は前向きに検討するとしている。

東邦銀行本店のカウンターに設置されているつえホルダー
東邦銀行本店のカウンターに設置されているつえホルダー

 県は、つえホルダーの設置を促す補助制度などを現時点で設けていない。

 福島市の福祉関係者は、足の不自由な人にとってつえは活動の幅を広げる重要な道具であり、つえ置き場も欠かせないと代弁する。「投票所のような公共の場につえホルダーを設置してもらえると、より使いやすくなる」と話した。

銀行も取り組み

 つえ利用者が日常生活でつえを立てかける場面は多い。投稿した男性が利用する郡山市内の東邦銀行支店は、カウンターにつえホルダーを設置している。同行の担当者によると、高齢者や体が不自由な来店者が利用しやすいよう、2015年からカウンターや記帳台への取り付けを進めてきた。設置前は来店者のつえが倒れる場面を度々目にすることがあったという。

 福祉用具の販売・レンタル事業などを手がけるハッピーケア(本社・福島市)の渡辺譲福島支店長は、つえが倒れると拾う際に転んでしまったり、つえが壊れたりする恐れもあると指摘する。つえホルダーは壁やテーブルのへりに取り付けるタイプが一般的で、数百円から購入できるという。「投票所の他にもスーパーやコンビニのレジ、トイレなど、つえを手放さなければならない場面にあれば利便性が高まる」としている。