家族の世話を過度に担うヤングケアラーの支援が県内で進みつつある。宇都宮市は、支援対象を発掘する活動を強化した。県が無料通信アプリLINE(ライン)の相談を受け付けるなど窓口も充実している。当事者のSOSが上がりにくいのが、この問題だ。早期発見へ、より積極的な施策を進めてほしい。

 学業の遅れ、ストレスなどで成長や将来の選択に深刻な影響を及ぼしかねない。子どもの人権に関わる恐れがあると肝に銘じたい。

 県はケアラー支援に向け、条例、推進計画、手引を定め、推進の姿勢を鮮明にしている。昨年10月に設置したラインのヤングケアラー相談窓口は25年度末で約100件の登録、延べ約540件の相談があった。当事者向けサイト「とちけあ」も開設している。市町も窓口を設けており体制充実は評価できる。

 大きな課題は、ヤングケアラーが「周囲から見えにくい」ことへの対応である。家のことをむやみに話さないのは無理もない。だからこそ、早期発見がかなわず、本人の窮状が長引く。

 宇都宮市の動きに注目したい。市は昨秋、小学4年~高校3年相当を対象に、任意の記名式アンケートを行った。市立小中学校では1人1台配布されているデジタル端末を使い、回答率は小学生で約90%、中学生で約80%だった。高校生は郵送したQRコードから回答を求め、回答率は20%。高校生の回答率向上に工夫を凝らしてほしい。

 回答者の5・8%、約1500人がヤングケアラーの可能性があると判断した。学校と密に連携し5月、新たに9人の支援対象者を認定した。相談を待つばかりでなく、掘り起こす姿勢の成果と言えるだろう。継続的な目配りや支援を続けなければならない。他市町も積極的に手を差し伸べる「アウトリーチ」の視点をより意識したい。

 自治体の支援策では、必要に応じて家事支援、介護・障害福祉のサービスなどにつなぐ。しかしサービス提供事業所数は、市町、地域でばらつきがある。関係機関の連携や対応する人材の育成などは一朝一夕にはできない。不断に充実を図ることが必要だ。

 サポートする受け皿が充実すれば、一層前向きに支援対象者を見つけられる。そうした発見と支援の好循環を生み出すことが肝要である。