プロ野球は各地の球場で熱戦が続いている。そんな中で「試合に使われたボールは、その後どうなるの?」という素朴な疑問が西日本新聞「あなたの特命取材班」に寄せられ、白球の行方を追った。(西日本新聞)
球場やテレビ中継を見ていると、投手が手にしたボールを審判に戻したり、捕手が交換を求めたりする場面をよく目にする。ワンバウンドで土が付いた球やファウルになった球。まだ使えそうに見えるのに、なぜ新しいボールに替えるのか。そして回収されたボールはどこへ行くのか。調べてみた。
明確な規定なし
意外だったのは「一度地面に付いたボールは使用禁止」「ファウルになったら必ず廃棄」といった明確な決まりはないということ。日本における野球の公式ルールを定めた公認野球規則では、ボールが汚れたり、傷んだりして試合に適さないと審判が判断した場合、交換することになっている。つまり、交換するかどうかはボールの状態によるわけだ。
ただ、現在のプロ野球での交換基準はかなり厳しい。日本野球機構(NPB)の12球団が1軍の全試合で使用する統一試合球は牛革製で、スポーツ用品メーカーのミズノ社が製造している。NPBは「ボールに傷がつくと、投球・打球とも変則的な回転をしたり、投手の指が傷ついたりするため使用しません。土が少し付着した程度なら、審判員が取り除いて使うこともあります」と説明する。
投手は、縫い目の感触や表面のわずかな違いにも敏感だ。傷や汚れは握りや回転に影響し、球威や変化球の精度を左右しかねない。最高レベルの技術で競うプロの世界だからこそ、少しでも条件をそろえようとしているのだろう。実際、プロ野球では1試合で100球を超えるボールが使われることも珍しくない。ファウルや打球の衝撃で傷んだボールを交換した結果だ。
ちなみに、統一試合球の各球団への納入価格は非公表だが、一般向けに販売されている同仕様の「オーセンティックボール」は1球3100円(税込み)。
最大300球を用意
福岡ソフトバンクホークスの球団広報によると、1試合当たり120~150個のボールが使われる。試合前に用意するボールは最大約300個で「延長戦があると使用数が増えます。屋外球場では雨の影響などで交換が頻繁に発生する可能性なども想定して準備します」。土などで汚れたボールやファウルボールを試合で使わないのは「傷が入ったり変形したりすることで投球が変化する恐れがあり、公正でなくなるから」と話す。
では、交換されたボールはどうなるのか。NPBによると、多くの球団では試合前や休日の練習球として再利用しているが、練習球として使用した後の対応は、球団ごとに異なるという。
ホークスでは、試合で使って回収されたボールは「練習用のボールになります」と広報担当者。守備や打撃の練習で活用されているという。試合で使えなくなったからといってすぐに捨てられるわけではなく、第二の役割を担っていた。
見た目には、何げなく行われるボールの交換。その背景には、最高レベルのプレーを支える厳格な管理があった。そして役目を終えたボールにも、再び活躍する場がある。試合中にはあまり意識されない白球だが、その一球一球には公平な勝負を支える工夫と、資源を無駄にしない現場の知恵が詰まっていた。

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