「神社に参拝した時、階段の上り下りが大変だった」という高齢者家族の声が新潟日報社に寄せられた。新潟県は神社の数が全国で最も多いが、神社そのものが高台に立地していたり、歴史的な背景があったりしてバリアフリー化のハードルは高い。神社の取り組みや課題を調べた。(新潟日報)

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 新潟市中央区の護国神社では2018年、「誰もがいつでも参拝できる神社」を目指し、数億円をかけてバリアフリー設備を整えた。正門の両脇にスロープを設け、天候に関係なく参拝ができるように屋根付き回廊を設置し、本殿までスムーズに移動できるようにした。

屋根付き回廊やスロープがあり、本殿までスムーズに参拝できる護国神社=新潟市中央区
屋根付き回廊やスロープがあり、本殿までスムーズに参拝できる護国神社=新潟市中央区

 禰宜(ねぎ)の伊藤豊彦さん(70)は「バリアフリー化の必要性が社会に認知される前から神社は存在しており、対応できない神社は多いと思う。少子高齢化が進む中、バリアフリー設備が必要だと考えた」と狙いを語る。

 そもそも、必ず本殿に参拝しなければならないのだろうか。伊藤さんは「本殿まで来られなくても、下で参拝してもらえば十分。参拝したいと思う気持ちを大事にしてほしい」と呼びかける。

歴史的な建造物く

 一方、ニーズがあっても神社内の全てをバリアフリーにできない事情もある。

 弥彦村の弥彦神社では、本殿の両脇にスロープを設けているほか、車いす専用トイレも整備した。足の不自由な参拝者には本殿近くの駐車場の利用を促し、階段がある参道を通らず本殿に行けるルートを確保するが、「車いすでも参道を通って参拝できるようにして」との声が年に数回寄せられるという。

参道が長く高低差がある弥彦神社。バリアフリー化に難しさがある=弥彦村
参道が長く高低差がある弥彦神社。バリアフリー化に難しさがある=弥彦村

 鳥居から本殿までの距離は約200メートル、高低差は約5メートルあるため、スロープなどを整備するのは難しいという。権(ごん)禰宜の倉橋大徳さん(48)は「弥彦神社は2千年の歴史があり、歴史的建造物として維持することも重要だ。どこまでバリアフリーに取り組むか判断が難しい」と打ち明ける。

委員会で審査もく

 県内には約4700社の神社があり、全国最多。弥彦神社をはじめ、国指定の文化財となる神社は、文化的な価値を保護する観点からバリアフリーの対応が困難な側面もある。

 県内神社の事務局を担う県神社庁によると、バリアフリー対応は各神社の判断に委ねられており、「多くの方に参拝してほしい気持ちがあっても、地形や経済的なさまざまな事情があるのでは」と推察する。

 文化庁は全ての人が快適に親しむことができる環境づくりを目指し、文化財のバリアフリー化を推進する。一方、エレベーター設置など大規模改修の場合は、文化財の価値を損なわないようにするため、委員会に諮るなど審査時間を要することがあるという。

 文化庁建造物課の担当者は「文化財のバリアフリー化は進めてもらいたい。価値を損なわないようにどんな対応ができるか、相談してほしい」としている。