世界の檜舞台で活躍する若きスター指揮者クラウス・マケラや類いまれな感性で音楽に光を当てるペッカ・クーシスト(東京都交響楽団次期首席指揮者)らクラシック界に豊かな才能を送り出しているフィンランド。新星タルモ・ペルトコスキもその一人だ。音楽監督を務めるフランスの名門トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団を率いて来日。ソリストにピアノの辻井伸行を迎え、全国6都市で公演を行った。
ペルトコスキは2000年生まれと若いが、緻密な指揮さばきで、臆することなくこだわりの音楽を聴かせる。日本デビューだった昨年、NHK交響楽団に客演した公演は、楽団の聴衆投票企画で、シーズンで最も心に残ったコンサートに選ばれるなど異彩を放つ。
6月にあったミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市)の公演は、甘美な旋律に彩られたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番で始まった。楽団の響きは明るく艶があり、辻井の清澄なピアノと相まって聴衆を心地よい陶酔へといざなう。
辻井のアンコールは、ワーグナー(リスト編曲)「エルザの大聖堂への行列」。関係者によると、ペルトコスキからワーグナーが大好きだと聞き選んだという。きらめく音が温かな余韻を残した。
後半の演目、ショスタコービッチの交響曲第10番は、ソ連のスターリン時代を思わせる重苦しさや暴力性、作曲家自身の名前を表す音型の提示など、さまざまなイメージを想起させる作品だ。
ペルトコスキの指揮の気迫は客席にも伝わってくるほどで、奏者らが鮮やかな技巧で応える。ともすれば不穏さが強調されがちだが、ペルトコスキは明晰な采配で活力に満ちた演奏を繰り広げ、作品の多面的な魅力を描き切った。
ペルトコスキは26歳になったばかり。次の来日が待ち遠しい。(共同通信=須賀綾子)
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