保育施設と就職希望者をつなぐ「とちぎ保育士・保育所支援センター」は開設から10年がたった。就業者の増加に成果が見える一方、なお保育士の需要は高い。求職者や、求人側の保育施設の開拓に一段と力を注ぎ、双方の裾野を拡大したい。
開設以降、今年3月までにセンターを通じて採用された保育士は、約730人。相談件数は増加傾向で延べ3万件を超えた。認定こども園などを含め県内保育施設で働く保育士は2025年に1万1千人超となり、10年で約3千人増えた。状況は着実に改善しつつある。
ピーク時の15年に600人を超えた待機児童は現在、ゼロもしくは低水準に抑えられるようになっている。センターの機能も有力な後押しになったと言える。
センターでは保育士資格を持つコーディネーターが求職者の希望を聞き、保育施設を紹介する。求職者、施設側とも、センターが介在することで、就職、採用の活動に安心感を得られる。こうした利点をより強調してほしい。
一方、保育士不足は依然、深刻だ。全国的に保育士の有効求人倍率は、全業種平均を大幅に上回っており、人材確保に苦労は絶えない。県内で資格を取った保育士は現在約2万9千人いる。実際に働いている人数を考えれば、潜在保育士が相当数おり、掘り起こしの余地は大きい。センターは発掘の基点であると改めて認識したい。
求職者に対しては、センターの機能や、やりがいなどを伝える施設見学、保育体験といった事業のさらなる周知が必須である。未就学児を育てる有資格者向けの保育料支援や、志望者を対象にした修学資金支援などの事業を広く知ってもらうことも重要だ。保育士のフォローアップの徹底も欠かせない。
センターを活用する保育施設を継続的に開拓することも求められる。施設側の人手不足の緩和や、求職者の選択肢の拡大、ミスマッチ防止が一層期待できる。
根源的な課題として、賃金などの改善は避けて通れない。国は処遇改善等加算によって、人材の確保などを目指しているが、まだ十分とは言えない。全国の自治体、保育現場の声に耳を傾け、さらに充実を図るべきである。改善が進めば、センターもより円滑に機能するだろう。
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