小説を出版するときの重要な過程に、ゲラチェックがあります。
ゲラとは「ゲラ刷り」の略で、内容やレイアウトに誤りがないか確認する校正刷りのこと。
パソコンの画面でいくらチェックしても、紙に印刷された状態で読むと誤字脱字や矛盾点が新たに見つかるものでして、なんとしてもゲラチェックの段階でそれらは見つけださねばなりません。
著者が何回ゲラチェックできるかは出版社によるらしいのですが、だいたい2回まで。1回目の校正刷りは初校、2回目は再校と言います。
初稿を編集部に出してから初校が来るまで、だいたい1~2か月くらいでしょうか。
この間に、校正者や担当編集者さんのチェックが入り、それが書き込まれたゲラが送られてくるのです。
初稿を提出した直後はテンションが非常に高くなっていますが、初校ゲラが戻されるころには、かなり落ち着いてます。その冷めた目でゲラを読むと、出てくる出てくる、誤字脱字と矛盾点の嵐。
しかし、そのあたりはプロが既に気づいているもので、指摘の書き込みと共に戻ってきます。
書き込みも2種類ありまして、朱書き(明らかな間違い)と、えんぴつ(受け入れるかどうか著者次第)があります。
朱書きは何をどうやっても直さねばならないのですが、悩ましいのが「えんぴつ」。
渾身のセリフが「これは変では」と指摘されたり、泣きながら書いた「これは我ながら名シーン」と思った場面が「前後と矛盾しているのでは」などと書き込まれて帰ってくると、膝を抱えて落ちこみます。
しかし、そのころには既に落ち着いているので、えんぴつの指摘も「なるほどな」と思うのが大部分。
以前、NHKでプロの校正者のドキュメンタリーを見ていたら、芥川賞を受賞した作家さんが、受賞作について「えんぴつは7割受け入れた」とおっしゃっていて、「芥川賞作家さんでもそんなに受け入れるんだ!」となかなか衝撃的でした。
現在、私が行っているゲラチェックは、8月に出る予定の「ナカスイ!海なし県の海洋実習」(祥伝社文庫)の再校。既に単行本で出た内容を文庫用に書き直しているので、それほど「えんぴつ」はないかと思いきや、やっぱり結構あるのです。
指摘を眺めつつ、「そうですよねえ、私が間違ってますよねえ」とか、「いや、ちょっと待った。異議あり!」、「うわー、なんで気づかなかったんだろう」とか、一人でブツブツ言っている光景は人には見せられません。
ちなみに、ゲラチェックを紙ではなくデジタル(PDF)で行う作家さんもいらっしゃるとか。確かに省資源ですが、私は絶対に紙派です。
※第27回エッセイで書いた「本の甲子園」ですが、先日行われた第1回戦で「オリオンは静かに詠う」が第2回戦に進むことが決まりました。ありがとうございます。引きつづきよろしくお願いいたします。

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