大激闘の90分間、勝利を祈る熱い視線が注がれた。サッカーワールドカップの日本対ブラジル戦が行われた30日未明、宇都宮市内のスポーツバーには日本代表を応援するサポーターが詰めかけ、真岡市内のブラジル料理店では日系ブラジル人らがエールを送った。どちらかしか喜べない宿命の中、「いい勝負だった」と選手たちの勇姿に万感の拍手を送った。
「王国」の壁を打ち破る歴史的瞬間への期待は結実しなかった。
宇都宮市池上町の「ダーツ&スポーツバー B-GARAGE 宇都宮池上店」には、午前2時のキックオフに合わせ63人が集結し、6台のテレビとプロジェクターを通して大一番の行方を見守った。
前半29分、佐野海舟(さのかいしゅう)選手が先制のシュートを決めると、驚きのあまり店内は一気にお祭りモードに。誰ともなく肩を組み、飛び跳ねて喜び合った。
鹿沼市貝島町、会社員乾元(いぬいはじめ)さん(32)は出勤前の観戦。「勝って気持ちよく出社したい」と祈るような目を画面に向けた。
後半になると「カナリア軍団」がさすがの地力を発揮し、11分、同点に追いつかれると店内からはため息と「やっぱり強い」「仕方ない」という声が漏れた。 ピンチを耐え続け、迎えた延長戦突入間近の追加タイムに絶望的な失点。「あー、入っちゃった」と天を仰いで頭を抱え、意気消沈した。
開始1時間以上前から決戦を待ちわびた真岡市、会社員小林優真(こばやしゆうま)さん(26)は「ショックで言葉が出ない」と顔色を失っていた。
世界最高の舞台で、指折りの強豪相手に最終盤まで競り合う壮絶な一戦。仕事帰りに同僚と訪れた壬生町至宝1丁目、看護師小堀櫻華(こぼりさくら)さん(25)は「惜しかった。とにかく悔しい。本当に良い試合だった」とねぎらいの言葉を送った。
■決勝弾に歓喜の絶叫
遠く離れた母国の勝利の感激に浸った。
真岡市並木町のブラジル料理店「ダ・ネイデ」には、鮮やかな黄色のTシャツを着用した日系ブラジル人ら約20人が集まり、熱視線を送った。試合が始まると、母国の料理を食べたり、ガラナ飲料を飲んだりしながら試合に見入った。
前半、日本が先制すると「あぁ」の悲鳴の中に「うそ、やったー」の声も混じり、両国を応援する複雑な気持ちも表れた。
後半は展開が一転、同点弾に続き、追加タイムに勝ち越しゴールが決まると総立ちに。絶叫しながら拳を突き上げ、国旗を掲げた。
来日35年になる同市田町、日系2世モトオリ・ケンジさん(65)は「日本も強くなったけど、何とかブラジルが勝ててうれしい。このまま勝ち続けてほしい」と期待した。
同市大谷台町、会社員根本誠也(ねもとせいや)さん(29)は、同市生まれで日系4世の妻ゆきえさん(27)と見届けた。2人は「両方を応援していた。こうなったからにはブラジルに優勝してもらうしかない」と躍進を願った。
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