飲食料品の消費税減税を巡り、政府と与野党でつくる「社会保障国民会議」で、自民党が2027年4月から2年間、8%から1%に引き下げる案を示した。財源確保策は事実上、先送りとなっている。

 消費税収の約4割は地方財源であり、自治体の財政運営や社会保障施策に大きな影響を与えかねない。代替財源の議論などが置き去りにされた状態で、拙速に進めるべきではない。

 税率を1%にした場合、年4兆3千億円の税収が減る。地方の減収分は年1兆6千億円程度になるとの試算もある。県の試算では、地方消費税と地方消費税交付金の減収額は、県分は年約77億円、25市町分は約76億円で、計約153億円に上ると推計。地方財政には大きな打撃であり、高齢社会を支える医療や介護など行政サービスの低下につながる恐れもある。

 今年2月の衆院選で、自民は消費税率ゼロの検討加速を公約に掲げ、高市早苗(たかいちさなえ)首相は「悲願」と訴えた。ただ、税率ゼロにすると小売店のレジ改修に1年程度かかるとされ、政府は半年ほどで済む見込みの1%で調整を進めている。今回示された案は、2年間に限り税率を1%に引き下げ、1%分の税収に当たる年約6千億円を中低所得者に現金給付し、実質ゼロとする構想だ。

 29年4月に税率は8%に戻し、収入が低い働き手を支援する新制度「給付付き税額控除」は、同年度内に導入する。10%が維持される外食産業や、消費税の納税義務がなく8%分を「益税」として受け取れている小規模農家らが減収になるとして支援も検討するとしており、新たな財政支出も想定される。

 一方で財源については「特例公債(赤字国債)に頼らない」としているが、具体的な明示は先送りされている。全国の自治体トップからは懸念の声が上がっており、本県の福田富一(ふくだとみかず)知事は記者会見で「代替財源をはっきりしてもらうことが重要だ」と指摘した。地方の意見を踏まえた丁寧な議論が欠かせない。

 仮に税率を引き下げたとしても、2年後には再び8%に引き上げることになる。国民にとっては増税であり、景気を冷やすことにもなりかねない。消費減税がもたらす負の側面に目を向け、急がず、徹底した議論が必要だ。