目やに、涙目、目の充血。このような症状が急に現れる「流行性角結膜炎」は、「はやり目」とも呼ばれます。他の人に感染させる力が強く、家庭内感染だけでなく、学校、職場、病院などでの集団感染も起こることがあります。

 

 結膜炎はよく耳にする言葉ですが、「結膜」とは、まぶたの裏と白目の表面を覆っている半透明の膜です。このように結膜は直接外界と接しているために、いろいろな細菌やウイルスの感染を起こしやすいのです。結膜にウイルスが感染して起こるウイルス性結膜炎の一つに、アデノウイルスによって起こるはやり目があるのです。

 すべての年齢層の人に感染のリスクがあります。流行性角結膜炎は、主としてアデノウイルスの8型に加え、19型、37型、54型などの複数のウイルスが原因になります。このために一度感染して免疫ができても、別の型のアデノウイルスに感染することがあります。子どもの頃にかかっていても、また、大人になって感染することもあるのです。

 潜伏期間は2~14日間で、急にまぶたが腫れて、涙が流れます。目やにが出て、結膜が充血します。ひどくなると角膜(黒目)に小さな炎症が起こって、濁りを残すこともあります。細菌感染などを一緒に起こすと、視力の低下を残してしまうこともあるため、速やかに眼科を受診しましょう。アデノウイルスに対する特効薬はありませんが、炎症を抑えたり、細菌の混合感染を予防するための点眼薬などが使われます。通常、発症してから1週間の症状が強く、徐々によくなっていきます。

 目をこすった手やティッシュ、ハンカチなどにウイルスが付いて感染を広げます。最初は片方の目だけでも、数日内に両目に感染してしまうことが多いです。ウイルスは便にも出ます。手洗いを励行し、目の周りに使うペーパータオルなどは使い捨てにし、タオルなどの共用はしないことが大切です。流行性角結膜炎に有効なワクチンはありません。

岡田晴恵教授
岡田晴恵教授

 

おかだ・はるえ  医学博士。専門は感染免疫学、公衆衛生学。テレビやラジオへの出演や執筆活動を通じて、感染症対策の情報を発信している。