県内最大規模の文化の祭典、県芸術祭は今年、80回を迎えた。戦後間もない1947年に始まり、都道府県としては東京、大阪に次いで3番目の歴史がある。節目を機に例年以上の参加者を集め、本県の豊かな文化の底力を示したい。

 当初は美術とホールの2部門で始まった。近年は県と県文化協会が主催し文芸、美術、ホール、茶華道の4部門22分野で開催。5月の茶華道展を皮切りに、現在は文芸作品を募集しているほか、秋には美術部門の作品募集、展示やホール部門の発表が行われる。成績優秀者を審査し、表彰も行う。

 県民の文化活動の振興、裾野拡大を目的とし、応募資格は県内在住・在勤者や出身者などに限っている。美術部門で見ると、前回は合計約900点の応募があった。本県関係の芸術愛好者にとっては老若男女を問わず貴重な作品発表、交流の場になっている。

 だからこそ、臆することなく多くの県民に参加してもらいたい。とりわけ高校生を含む若手が力試しとして応募することを期待したい。県での評価は自信となり、さらに全国規模など次のレベルでの活躍につながるだろう。近年は美術部門などで大学生ら若手の入賞も少なくない。次世代を担う愛好者の活況は、本県の文化活動の持続的な発展につながる。

 主催者側も25歳以下が対象のU25賞を設け、高校の部活動を通じて参加を促すなど、若年層の取り込みを図ってきた。80回の節目には、高校生の出品料を無料とし、U25賞に副賞を設けた。30歳以下の受賞者によるU30展覧会も初めて開く。

 今回は特別協賛などがあり新たな試みが実現したが、こうした仕掛けを継続できないか。また、募集案内などには若者もアプローチしやすい交流サイト(SNS)をより積極的に活用してはどうか。団体に所属しない愛好者の掘り起こしにも有効だろう。

 県は現在、県立の美術館と図書館、文書館を本県文化振興の中核として一体的に再整備する「文化と知」の創造拠点整備事業を進めている。一方で地元の芸術愛好者が幅広い分野で集い、回を重ねてきた県芸術祭は県民ぐるみの文化活動の「中核」といえる。節目に当たって、その価値を改めて見直し、さらなる発展につなげたい。