時間やコストのかかる海外の市場調査を訪日客への調査で代替し、専門家が助言して県内中小企業の商品輸出を支援する。
日本貿易振興機構栃木貿易情報センター(ジェトロ栃木)が乗り出した「インバウンド(訪日客)マーケティング&マーケットイン型開発輸出実証事業」だ。意欲はあっても輸出に踏み出せない企業は少なくない。県内には食品など魅力ある産品が豊富にある。輸出促進の転機としたい。
中小企業にとって海外の市場調査はハードルが高い。バイヤーが集まる見本市への出展は1千万円もの費用がかかることもある。一定期間、社員を派遣すると、業務への支障は不可避。しかも成果が上がるとは限らず、二の足を踏むのは分かる。
事業には本県のほか東京、埼玉、茨城、群馬の各都県と合同で計20社が参加する。各社は今夏、都内観光地で訪日客への試食や販売、ヒアリングなどを行う。訪日客は最も身近な海外消費者だ。事業効果を最大化するため、好み、主ターゲット層、消費行動を想定した準備が重要だろう。
調査で得た声や感触、データを基に、海外市場に詳しい専門家の助言を受けられる意義は大きい。例えば刺し身ゆばであればまず、しょうゆをつけることを想定するが、海外なら豆板醤(とうばんじゃん)や、オリーブオイルと塩が選ばれるかもしれない。ニーズに沿った商品開発が期待できる。
海外バイヤーが訪れる国内の商談会でも、訪日客調査の結果を踏まえ、より具体的な提案も可能になるだろう。
伝統的な食品などの多くは、海外になじみが薄い。分かりやすくアピール力のあるパッケージや、商品が生み出された背景を示すストーリーの開発、ブランド作りでも専門家の知見を活用したい。
本県にはイチゴや和牛はもちろん、みそ、乳製品、アユ、陶器、木工など、海外で受け入れられる潜在力を持つ産品が多い。海外の視点を意識することで、その魅力を改めて見いだす機会にもすべきである。
資材、燃料などの物価高や円安傾向が逆風の中小企業は多い。輸出なら、円安が味方になる可能性もある。
ジェトロ側は事業を通じて新たなノウハウを蓄積することが大切だ。その蓄積で、参加企業以外の支援も、幅広く充実させなくてはならない。
ポストする