熱中症予防の普及啓発活動を地域住民らに行う「熱中症対策普及団体」の指定が県内市町で進んでいない。社会福祉法人やNPO法人、民間企業などを指定し、対策の強化と担い手を確保する狙いだが、現在募集しているのは佐野市と高根沢町のみだ。
5月に募集を始めた同市では、市内で子どもや障害者、高齢者の施設などを運営する社会福祉法人「とちのみ会」からの申請を受け、今月1日付で同団体に指定した。同会は利用者への声かけや主催する地域イベントでのチラシ配布など啓発活動を強化する。
同市では初指定であり、県内では唯一の同団体となる。全国屈指の暑さで知られるだけに、県内の他市町の先例となる取り組みを期待したい。
同団体は気候変動適応法に基づき2024年度に始まった制度。各種の法人から申請を受け市町村長が指定する。主な活動は、熱中症に関するイベント実施や広報活動のほか、高齢者宅の訪問時に水分・塩分補給や適切なエアコン使用を働きかけるなど熱中症予防行動を促すことだ。
ただ本県だけでなく全国でも同団体指定は低調だ。環境省によると指定団体数は25年度の調査で9自治体計24団体と少ない。「認知度が低い」(同省)ことが理由の一つという。まず同省は、市町村の参考になるよう全国の先進事例集をまとめるなどホームページ(HP)を充実させ、認知度向上を図るべきだろう。
県内の市からは同団体募集に消極的な背景として、地域包括支援センターや介護事業者らの日常業務や高齢者世帯の見守り事業などで熱中症予防の声かけをしている点を指摘する声もある。一方、先月、福島県内で初指定となった郡山市社会福祉協議会は「既存活動の延長線で、ハードルは低かった。指定により改めて活動の意識付けになる」と指定の意義を見いだす。
京都市では市内12の社協や同センター運営法人、製薬会社を指定している。高齢者福祉の事業者など熱中症対策に親和性が高い事業者を指定することができれば、相乗効果は大きいはずだ。
5団体程度の指定を目指す佐野市は指定を受けるメリットとしてチラシなどの啓発資料提供、研修案内、市HPでの活動紹介による団体のPRを掲げている。県内他市町も制度への理解を深め、同団体の募集に乗り出してほしい。
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