放水訓練をする小山消防士

 宇都宮市内の災害の現場で女性の活躍が広がっている。かつて宇都宮市消防局では女性職員の多くが事務職に配置されたが、現在は救急や火災の現場などに職域を拡大した。市消防団でも女性団員が救急講習で講師になるなど女性の視点や活力を生かした活動を行い、子どもや高齢者など多様な市民へのサービス向上を図っている。

 11月下旬。入局6年目の中央消防署消防士小山千鶴(こやまちづる)さん(28)は消防ホースを持ち男性職員とともに放水訓練に汗を流した。「どんな時でもホースは放さない」と水圧のかかるホースを操った。

 兵庫県出身の小山さんは消防職員に憧れ専門学校で救急救命士の資格を取得、宇都宮市の採用試験に合格し移住した。入局後は資格取得支援制度で大型自動車免許を取り、消防車を運転し現場に向かう。「さまざまな仕事に挑戦したい。それは女性の職域拡大に通じます」 

■目標は5%

 消防庁は、女性活躍や多様な住民への対応力向上を図るため、2026年度までに女性の割合を5%にする目標を掲げている。

 市消防局によると、東日本大震災後は防災意識の向上で、近年は採用試験申込者が毎年10人を超える増加傾向にある。ただ消防職員453人のうち女性は10~30代の7人(1・55%)にとどまる。

 市消防局は「消防は女性が働く職場というイメージがない市民が多い」とし、消防署見学やイベントなどに女性消防士を置いて認知度アップに努めている。

 また仮眠室やシャワー室などを整備し施設を改善、さまざまな職場への配置を通し育成を図る。今後は仕事と家庭の両立支援策などを検討し、現場で長く働ける体制を整備していく方針だ。

■活動をPR

 市消防局とは別に、火災や災害発生時に自宅や職場から現場へ向かい消火や救助活動を行う非常勤特別職の地方公務員である消防団。市消防団は団員1989人のうち女性は45人で平均年齢は44歳だ。

 消火活動を行う以外に心肺蘇生法や自動体外式除細動器(AED)の使い方を学び、応急手当普及員の資格を取得した人もいる。有志でつくる女性部の岡田恵子(おかだけいこ)部長は消防フェアなどのイベントで部の活動をPRし勧誘、1年間で8人の女性団員を獲得した。

 岡田部長は「防災教室では、子どもや高齢者に分かりやすい言葉で説明し、消火活動の時は被災者を励ます」と述べ「男女共同参画社会ですが、女性ならではの視点が生きる場面がある」と力を込める。市消防局は「女性の消防士、消防団員のきめ細かな対応は市民に好評だ」としている。