誰も経験したことがない状況になってしまい、選手たちに何と声を掛けてあげればいいか。一般の方が思う以上に競技を続けてきた僕たちにとっては、ものすごく大きな出来事と感じています。
僕が1度だけインターハイに出場したときは、「高校へ恩返ししたい」という思いが一番でした。そういう思いを表現できる舞台がなくなったという意味でも、「仕方ない」で済ませられることではないと思います。
こんなときに大切なのは、ゼロになってしまわないこと。頑張ってきた日々を無駄だと思わず、大事にしてください。インターハイに出たかどうかは関係ありません。熱量を持って取り組んだことが何より大切です。
僕ならきっと「これを超える経験は今後ない。もう、どんなことが起きても大丈夫」と考えると思います。皆さんも経験値に変えてください。
物事というのは前向きに捉えたもの勝ち。休むことも重要ですが、休んだ後は前向きに考えることが肝心です。
自粛が徐々に解除されても普段通りの生活を送れない難しい状況の中ですが、まずはこの一瞬一瞬をどう過ごしていくかが大切です。皆さんは今の行動が自分にとって一番いいかどうかを考え、自分で取捨選択して前に進まなければいけない年齢でもあります。
この状況をどう消化し、エネルギーに変えて前に進むかは自分次第です。この先は暗いように見えるかもしれませんが、さらに明るい人生が待っている。そう自分を導くことは今までやってきたこと以上に重要なことです。そう考えられるように頑張ってほしいと思います。
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インターハイをはじめとする全国大会の中止により、これまでの努力を披露する場を失った中高校生のアスリートへ、本県関係のトップアスリートや元選手がエールを送る。
◆プロフィル 1994年生まれ。小山市出身。作新学院高-東洋大。ロンドン五輪で銅メダル、リオデジャネイロ五輪で金、銀、銅と3個のメダルを獲得。