[PR]小山市・結城市

思川桜染結城紬を中央に語り合った浅野小山市長(右)と小林結城市長

 本場結城紬(つむぎ)が国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録され10周年を迎えます。小山市と茨城県結城市は本場結城紬を共通の財産として、11月に両市合同で記念事業を展開します。本場結城紬の魅力、振興策などについて浅野正富(あさのまさとみ)小山市長、小林栄(こばやしさかえ)結城市長が語り合いました。コーディネーターは小山市のコミュニテFM「おーラジ」パーソナリティーの狐塚沙也香(こづかさやか)さんです。

 (企画・制作 下野新聞社営業局)

 

 ―本場結城紬がユネスコ無形文化遺産に登録され、今年で10周年を迎えました。率直な感想を教えてください。

 浅野市長 その卓越した技術を維持・継承するため、ご努力を続けられている小山市、結城市の生産者の皆さま、本場結城紬技術保持会の皆さまにあらためて深く敬意を表します。  

 小林市長 地域の宝として、誇りをもって守り続けていく事に、あらためて身が引き締まる思いがします。

 ―お二人が考える結城紬の魅力とは何でしょうか。

小山市長
浅野正富

 浅野市長 糸つむぎ、かすりくくり、地機織りなどすべての生産工程が手作業で生産者の思いが込められています。軽やかで柔らかな風合いに魅力を感じます。私自身いままで和服を着ることが少なかったのですが、2年前、小山市の新春座談会で本場結城紬を着用した時、軽く動きやすい、肌触りがいいという感想を持ちました。これによって私の着物に対するイメー時も一変しました。

 小林市長 軽くて暖かいというのが第一印象です。秋から冬にかけてはぴったりではないでしょうか。本来は気軽に着ることができる「普段着」や「おしゃれ着」なんですね。昔は藍染めに代表されるような渋い色が多かったようですが、現在は明るい色も多く作られて帯や帯締めなどの組み合わせで着こなしを楽しむ方も多いと聞いています。また、「結城三代」と言われるように,着るほどに良さが出てくるといいます。このように知れば知るほど良さが理解できて,意外性のあるところが魅力の一つではないでしょうか。

 

 ―生産者の減少など課題もあります。本場結城紬が抱える課題について、どう認識していますか。

茨城県結城市長
小林 栄

 浅野市長 二つの大きな課題があると思います。一つは、生産振興です。本場結城紬の検査反数は1980(昭和55)年の3万1288反をピークに、年々減少しています。2019(令和元)年度は960反と千反を切ってしまいました。また、今年は新型コロナウイルスの影響で、密を避けるため着物の展示会・販売会が中止、反物生産の注文もストップ、結城紬産業への打撃は、大きなものがあります。もう一つは、後継者不足です。特に原材料、真綿や手つむぎ糸を製作する後継者不足が深刻であり、世界が認めた本場結城紬の手わざをどう未来へとつないでいくかが課題と考えています。

 小林市長 原材料確保と結城紬振興に課題があると思います。織り手については後継者育成ができているのであまり心配ありません。その他の工程,特に糸取り手が減少し良質な手つむぎ糸の確保が難しく、大きな課題の一つだと思っています。次に結城紬の振興ですが、本場結城紬の検査反数が年々減少し続けています。そもそも需要が減っているのだろうと想像ができます。和服離れ、ファッション市場の多様化やグローバル化による消費者の嗜好(しこう)の変化など和服を着る人と着る機会が減っていることを現実として受け止めなければなりません。

 

力合わせて生産振興を

 ―登録以前からの小山市、結城市それぞれの結城紬振興策について教えてください

 浅野市長 小山市には養蚕農家が6軒残っています。小山産繭を使い、繭から本場結城紬までの一貫生産に取り組むなど、新しい価値の創造に取り組んでいます。また、16(平成28)年、JR小山駅前にオープンした「おやま本場結城紬クラフト館」や、産地である絹地区に昨年オープンした「桑・蚕・繭・真綿かけ・糸つむぎのさと」を活用し、結城紬の原材料となる真綿・手つむぎ糸製作技法を学ぶ真綿かけ講習会、糸つむぎ講習会などを開催し原材料部門の後継者育成に取り組んでいます。そして市職員として2名の紬織士を採用し、生産者のお力を借りて育成しています。

 小林市長 結城市は結城紬の拠点施設として、結城紬を「見て・触れて・学べる」総合案内所である結城市伝統工芸館をリニューアル整備しました。市民、観光客に結城紬の製作工程である糸つむぎ・地機織りの実演を行うと同時に、後継者育成事業として機織りや糸取りの技術伝承事業も行っています。また、後継者育成事業などで織り上がった結城紬を活用した取り組みとして、土曜、日曜ならいつでも駅前の施設で市民や観光客等に貸し出しする「ふらり着心地体験」や結城出身の子は全員、結城紬を着たことがあると言える事を目指し、中学2年生全員を対象とした「紬のふるさと体験授業」を毎年、実施しています。毎年11月に行うイベント「きものday結城」の開催など、実際に結城紬を着て良さを体感してもらっています。

 ―登録10周年で、小山市、結城市が連携した結城紬振興や情報発信が増えることが期待されます。今後どう連携していきますか。

 浅野市長 結城市とは14(平成26)年10月2日に友好都市盟約を締結、16(平成26)年10月18日、結城市の他に下野市、野木町を構成市町とした「小山地区定住自立圏共生ビジョン」を策定しました。人口減少や少子高齢社会が進む中、圏域全体で経済発展や定住環境を整備し、人口流出を防ぎ、圏域への新たな人の流れを創出することが目的です。県は違いますが生活圏を共にするお隣の市として交流を続けていきます。結城紬事業でも友好都市盟約締結を契機に両市の中学生の体験交流事業を行ってきました。登録10周年を機に、今後も、両市の対話を通じ、本場結城紬を未来へつなぐためにどのような事業を展開していくべきか、ともに歩んでいければと考えております。

 小林市長 結城市と小山市は県が違いますが,市民の視点では商圏や生活圏は一緒です。特に今年は10周年を機に,結城市・小山市連携事業として「きものウィーク」を開催します。本場結城紬の産地は一つです。産地として本市と小山市が一緒に結城紬を盛り上げていきたいと思います。

 ―お二人が期待、想像する10年後の本場結城紬についてのあり方についてお聞かせください。

コーディネーターの狐塚さん(おーラジパーソナリティー)

 浅野市長 生産者との対話を通じ、よりよい道を模索し、次の10年も本場結城紬の織物だけではなく、世界が認めたその製作技法、伝統技術をつないでいければと考えています。そのために、同じ産地である結城市とともに、世界が認めた伝統技術の維持・継承に努め、ともに歩みたいと願っております。

 小林市長 常に新しいことにチャレンジして行ける土壌も必要だと思います。守るべき技術を活かしつつ現代にマッチした「本場結城紬」となるよう産地が一丸となって、推進して行きたいと思います。

 ―最後に、小山市民、結城市民、また下野新聞の読者にメッセージをお願いします。

 浅野市長 本場結城紬を未来へつなぐために、生産者が歩んできた年月にあらためて敬意を表します。本場結城紬は生産者の思いが詰まった、軽やかで柔らかな織物です。この美しい織物を多くの人に手にとっていただき、生産者の思いを感じてもらえればと思います。今後も両市が連携し、事業を実施してまいりますので両市民には、世界が認めた伝統技術が、ご自身の住むまちに残されている、作っている人がいる、続いているということを誇りに思っていただければ、大変うれしく思います。

 小林市長 結城紬はかつて結城市を中心とした広い地域で,養蚕から機織りまで多くの人が関わって地域産業として重要な役割を担っていました。この地域の宝を少しでも多くの人に触れて、着て、感じていただきたい。そうすればきっとその良さを理解していただけるはずです。触れて、着て、感じるためにぜひ結城市や小山市の紬関連施設へお越しください。お待ちしております。