「人生の節目に必ず国体がある」。いちご一会とちぎ国体に臨む体操少年男子本県チームの谷田治樹(たにだはるき)監督(富屋特別支援学校教)は過去、富山、福井と地元選手団の選手、監督として優勝を経験。3度目の“地元”開催へ特別な思いを胸に抱く。県内の競技の活性化、普及を念頭に選手を育成。今年の全国高校総体(インターハイ)個人総合で優勝した長男の雅治(まさはる)(作新学院高)らを率い、優勝を目指して11日からの本番に臨む。
谷田監督は体操の盛んな福井県出身。2000年に富山の選手として成年男子の優勝に貢献した。「最高の準備で優勝しなきゃいけないと思っていたし、楽しむなんてなかった」。その後は故郷へ戻り、18年の福井国体は成年男子の監督として頂点に導いた。
3年前に妻の実家がある宇都宮へ新天地を求め、作新学院高監督に就任。三度地元選手団の一員として国体に臨む立場を選んだ。早くから有望選手として期待されていた雅治だけでなく、谷田監督の手腕に期待する逸材も国内各地から入学。8月のインターハイで団体総合2位に輝いた。
マイナー競技に取り組んできた立場として、国体の意義を強調する。「都市部と違い、地方は国体で施設が整備される。後に財産を残すことができ、競技を普及するきっかけになる」。県内で実績の乏しい体操について、ハード面が充実することで育成などソフト面の強化が進むことを期待している。
自らは重圧と戦った地元開催も「力まない範囲だったら地元の利を生かせるはず」。メンタル面が大きく左右する競技で平常心を貫けば、会場の日環アリーナ栃木の器具に慣れていることは大きなプラス材料。あとは「有観客で力が湧くはず」と応援の後押しに期待している。
「体操にとって技術や体が大きく変わる」と位置づける高校生世代。「アマチュアや中高生が活躍すれば、地元は元気が出るはずです」。可能性を秘めた選手たちを国体で飛躍させて、県内のスポーツ文化に新たな風を起こす。