コメ販売店に並ぶ「とちぎの星」=9月上旬、宇都宮市

 栃木県は本年度、県産米のオリジナル品種「とちぎの星」のPR強化や栽培技術力の向上に力を入れている。「高温や病気に強く、作りやすい」と現場農家の評価は高い一方、消費者への浸透度はまだ低い。県は粒を大きくすることでブランド力を高め、キャンペーンを通じて流通も拡大させたい考えだ。

 とちぎの星は県農業試験場で交配され、2015年、農林水産省に品種登録された。多収が見込め、大粒でさっぱりとした食味で冷めてもおいしいとされる。

 食味ランキングでは最高位の「特A」に何度も輝き、19年11月には皇位継承の重要祭祀(さいし)「大嘗祭(だいじょうさい)」で使用された。好機を受け、県もPR活動に注力しようとした矢先、新型コロナ禍に見舞われた。安定した需要を見込める業務用向け戦略にも影響。県が20年度に実施したブランド力調査によると、とちぎの星の認知度は県内でも約44%にとどまった。